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壮一帆が「新たな自分を見せたい」と意気込む/下

認知症の父親とその娘を描いたフランス戯曲『Le Père 父』を日本初上演

大原薫 演劇ライター


壮一帆が「新たな自分を見せたい」と意気込む/上

自分の原点に立ち返って

拡大壮一帆=冨田実布撮影

――以前取材させていただいたときに、「観劇した公演をノートに記録している」とおっしゃっていましたね。

 そうなんですよ。今でも続けています。宝塚を退団して「もっと知識を身につけなくては」といろいろなタイプのものを観て記録するようにしたんです。

――記録し始めたときからは、舞台の見方は変わっていますか?

 変わっているところもあるし、ある意味原点に返っているところもありますね。どうして人はストレートプレイを観に行くんだろうと、根本的なことを考えたりするんですよ。

――それはどうしてだと思いますか?

 たとえばミュージカルや宝塚はエンターテインメントの要素が強いし、非日常の世界を体験して「明日も頑張ろう」という活力をもらうと思うんです。でも、ストレートプレイは本を読む感覚に近いのかもしれない。あるいは、ストレートプレイの中で演じられている日常を観客が覗き見している感覚もありますよね。今まで経験のなかった演劇表現の世界を、今、学ばせていただいているんです。宝塚を退団して4年なんですが、宝塚を観に行ったとき、「こういう芝居をするんだ」と芝居の質感を見ている自分がいたんです。これは宝塚を客観的にみることができるようになったということでもあるし、宝塚時代とは違う芝居へのアプローチがあるんだということもわかってきた。自分は宝塚で男役という一つの型を究めてきたんですが、今は男役を演じる前の初めて芝居をしたときの感覚に立ち返っています。

――壮さんが初めて芝居をしたのはいつですか?

 宝塚音楽学校に入学して演劇の授業で芝居をしたのが初めてだったんです。その頃は演劇少女だったんですよ(笑)。演劇の先生に「お前は一を言ったら十を理解する」と言っていただいて、いい気になっていたんです。でも、宝塚の外に出たらそんなことは全く言われない。それは宝塚時代の癖が抜けないとか、自分の想像の範囲で芝居を収めてしまっているのもあるかなと思って。その殻を破るためにはどうしたらいいだろうと、今いろいろと悩み、トライしているところです。音楽学校のときに何であんなに褒められたんだろうと考えると、もっと直感でやっていたんじゃないかと思うんです。「こういう芝居だから、こういうベースでいく」と無意識で形作っているものを取り払って、柔軟に演じることができたらと思いますね。 

◆公演情報◆
『Le Père 父』
2019年2月2日(土)~2月24日(日) 東京・東京芸術劇場 シアターイースト
2019年3月2日(土)~3月3日(日) 上田・サントミューゼ 小ホール
2019年3月6日(水) 高知・高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
2019年3月9日(土)~3月10日(日) 名古屋・ウインクあいち
2019年3月16日(土)~3月17日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2019年3月21日(木・祝) 松本・まつもと市民芸術館 小ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:フロリアン・ゼレール
翻訳:齋藤敦子
演出:ラディスラス・ショラー
美術:エマニュエル・ロワ
[出演]
橋爪功、若村麻由美、壮一帆、太田緑ロランス、吉見一豊、今井朋彦
〈壮一帆プロフィル〉
兵庫県出身。1996年に宝塚歌劇団に入団。2012年、雪組トップスターの就任。2014年に退団後は舞台を中心にライブ活動も精力的に行っている。 近年の主な出演に、ミュージカル『深夜食堂』、ミュージカル『マリーゴールド』、『SHOW STOPPERS!!』、『GEM CLUBⅡ』、『戯伝写楽2018』、『アダムス・ファミリー』、音楽劇『魔都夜曲』、『細雪』、ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』など。
壮一帆オフィシャルサイト

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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