2019年01月16日
衣料品通販サイト運営会社「ZOZO」社長・前澤友作さんがくれるという「1億円お年玉」のことを私が知ったのは、1月7日だった。
彼がツイッターを使い、世間に知らせたのが5日。アカウントをフォローし、リツイートするだけで、100人がポケットマネーから100万円ずつもらえるという。7日はその締切日だった。
「やな感じ」とは思わなかった。もちろん「いい感じ」でもない。一番近い気持ちを表現するなら、「そんなことも、あるだろうね」だろうか。
前澤さんと剛力彩芽さんというカップルを観察してきた。その結果としての、ある種の納得。自己分析するなら、そんなところだ。
あの2人の「劇場型恋愛」を目の当たりにし、剛力さんのことを「働く女子」ととらえて、あれこれ考えたこともあった。だけど2人は五分と五分、同じお流派の人なのね。今はそう思っている。
昨年7月、剛力&前澤の交際が騒ぎになったとき、剛力さんを痛々しいと思った。
前澤さんのプライベートジェットでロシアに行き、サッカーW杯の決勝戦を見た。スタジアム前の楽しげな様子をインスタグラムにあげた。反発を招き、反省の弁らしき言葉とともに投稿を全て削除した。が、ほとぼりが冷めるどころか、まだ「渦中」のうちにインスタを再開、高級そうな船で昼寝をする前澤さんの写真を投稿した。「たまにはゆっくり休んでねっ」と添えられていた。
剛力さんの若さが、気の毒だった。
超大金持ちの大人(前澤さん=当時42歳)が「好き」と言ってくれる。若い女子(剛力さん=当時25歳)だもん、舞い上がりもするだろう。ドリカムの「うれしい!たのしい!大好き!」状態。「きっとそうなんだっ、めぐりあえたんだっ、ずぅっと探してった、ひーとーにっ!」。
感情の駄々漏れを「はしたない」とする文化はとっくに消えているとしても、そんなふうな「勘違い」(と、年長者には映る)を全開バリバリで触れ回ったこと、いつか後悔するのではと勝手に心配した。そして何より、仕事に差し障ると思ったのだ。
女優・剛力彩芽の代表作は、「ランチパック」のCMだ。大金持ちとの付き合いと「ランチパック」は、イメージがかけ離れている。早晩、よくない結果になるだろう、と。
そのとき思い出した台詞があった。中学時代に出合って以来、心に住まわせていた名台詞。出典は、マンガ『エースをねらえ!』。西高校テニス部コーチ・宗方仁が、こう言っていた。
「男なら、女の成長をさまたげるような愛し方はするな」
大ヒットマンガなのでご存じの方も多いと思うが、岡ひろみという無名選手が世界級の選手になるまでのスポーツ大河ドラマ。あの内田樹さんも「多大な影響を受けた」と明言している。宗方は高校1年生の岡を見出し、彼女が3年生の時に死ぬ。岡を愛しながら、気持ちを告げることはせず、全身全霊でテニスを叩き込む。
このマンガに出合い、女も成長せねばと思い、宗方コーチのような男こそ男なのだと思ってきた。
なのに前澤さんってば、剛力さんを遊びに連れまわすばかり。成長させる気なんて、全然ないじゃないかー。そんなふうに、少し義憤に駆られていた。
その頃、剛力さんは絵画鑑賞する自分の写真をまたインスタにあげた。前澤さんが前の年に123億円で落札したバスキアの絵で、パリで観ているらしい。「ほんとカッコイイ、けど優しい」という感想を添えていた。
ごうりき&ゆうさくの「ごうゆう」ライフ。そんなオヤジギャグを思いついた。親しい人に言ったら、笑う代わりに
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