2019年01月29日
平成に入ってから、駅のバリアフリー対策の一環として、エスカレーターの設置が進められてきた。メリットはあるが、片側空けなどが原因による事故も発生している。安心、快適に利用できるにはどのようにすればいいのだろうか。
日本エレベーター協会のホームページによると、エスカレーターの片側空けは危険だという。
実際、駅のエスカレーターでは、片側を歩く人と止まっている人との接触や転倒といった事故が発生しているほか、半身マヒなどで片腕しか手すりにつかめない人は、利用しづらいそうだ。
日本におけるエスカレーターの片側空けは、1967年、京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)梅田駅で利用客に呼びかけたのが最初だという。以来、駅のエスカレーターは、京都府を除く関西は左側、ほかの地方は右側を空けるのがほぼ定着し、マナーと化したように思う。ただ、なぜ片側空けが地方によって左右異なるのかは、「謎」としか言いようがない。
2018年7月23日から、全国の鉄道事業者51社局、商業施設などが共同で、「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」を実施している。また、JR東日本では、同年12月17日から2019年2月1日まで、東京駅2か所にエスカレーター歩行防止対策が試行されている。
しかしながら、各駅を見る限り、これらの施策はあまり成果をあげていないようだ。その大きな理由は、長年にわたり、片側空けの習慣が根づいているからだろう。特に都市では鉄道網の充実により、乗り換えに時間のかかる駅が増えていることもその習慣に拍車をかけたと言ってもよい。エスカレーターでも歩行することで、ホームや改札までの時間を短縮できるからだ。
私は上記を実証する意味で、表の4駅を対象に、改札からホームまでの所要時間を計測した。やはり、いずれもエスカレーター歩行のほうが約30秒~2分早く、ホーム到着後、ほどなく列車に乗れば、目的地までの所要時間も大幅に短縮できる。
ちなみに、東京急行電鉄渋谷駅は、エスカレーターの下りよりも上りの所要時間が短い。これは、高速エスカレーターが設置されているからだ。エスカレーターの入口には「高速」と表示されている。私の推測だが、東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運転開始に伴い、東横線渋谷発着の列車はホームが地上から地下に移ったため、他線の乗り換え時間を増大させないように配慮したのだろう。
東京メトロ国会議事堂前駅も下りより上りが早く、高速エスカレーターを導入したのかと思い、同社に確認をとったら、「導入していない」という。気のせいか、私の歩く速度は上りのほうが速かったようだ。
また、東京メトロ永田町駅平河町方面改札から南北線ホームまでは、エスカレーターと動く歩道を経由する。今回は、動く歩道でもエスカレーターと同じ「歩行」と「立ち止まり」の両方を計測した。
動く歩道は立ち止まった場合、1分37秒かかるのに対し、歩行は26秒(参考までに隣の歩道を歩くと34秒)。また、「エスカレーターは立ち止まり、動く歩道は歩行」とした場合、合計の所要時間は約1分短縮される。
なお、東京の地下鉄でもっとも深い都営大江戸線六本木駅の1番線ホーム1・2号車のりばから六本木交差点・六本木ヒルズの改札までは、エスカレーターを歩くと2分もかからない。
実際、東京のエスカレーターを歩いてみると、スイスイ移動できる半面
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