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小林カツ代を「料理思想家」と呼びたくなる

丹野未雪 編集者、ライター

「料理だけに一所懸命な人間ではありません」

手間のかからない「のせかけ寿司」というちらし寿司を作る小林カツ代さん=東京都杉並区西荻北の小林カツ代キッチンスタジオで 2014拡大手間のかからない「のせかけ寿司」というちらし寿司を作る小林カツ代さん=1999年、東京都杉並区の小林カツ代キッチンスタジオで
 料理研究家・小林カツ代の名を一躍知らしめたのは90年代のグルメブームを牽引したフジテレビ系列の番組「料理の鉄人」への出演だが、そのときカツ代さんは台本に列挙されていた「主婦」という冠に徹底して抵抗したという。

 評伝『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著、文藝春秋、2017年)には断固として抗うその姿が描かれており、その理由を著者の中原は、「カツ代はジェンダー論にこだわったのではなく、プロフェッショナルとしての矜持がそれを許せなかったのだ」と書いているが、まさにそうだろう。

 家庭料理は社会のなかでどのようにとらえられ、位置づけられているのか。料理研究家・小林カツ代は、料理だけでなく、それをとりまく社会そのものを咀嚼していく。ある講演会でカツ代さんはこう語っている。 ・・・ログインして読む
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筆者

丹野未雪

丹野未雪(たんの・みゆき) 編集者、ライター

1975年、宮城県生まれ。ほとんど非正規雇用で出版業界を転々と渡り歩く。おもに文芸、音楽、社会の分野で、雑誌や書籍の編集、執筆、構成にたずさわる。著書に『あたらしい無職』(タバブックス)、編集した主な書籍に、小林カツ代著『小林カツ代の日常茶飯 食の思想』(河出書房新社)、高橋純子著『仕方ない帝国』(河出書房新社)など。趣味は音楽家のツアーについていくこと。