メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

月イチ八百回 独演会を続行中の真打ち春雨や雷蔵

トーキョー落語かいわい【1】一度も休まずこの夏400回に。 達成時は101歳!

鶴田智 朝日新聞記者

毎回語られる古典落語2席

「八百夜」では、雷蔵は2席語る。ほぼ毎回、古典落語を披露している=2019年1月17日、東京都中央区日本橋本町のお江戸日本橋亭(筆者撮影)拡大「八百夜」では、雷蔵は2席語る。ほぼ毎回、古典落語を披露している=2019年1月17日、東京都中央区日本橋本町のお江戸日本橋亭(筆者撮影)
 春雨や雷蔵がこの独演会で披露するのは、ほぼ毎回、いわゆる古典落語です。雷蔵の弟子2人が1席ずつ語り、その後、雷蔵が2席語るのがならいです。

 昨年12月は、武将太田道灌(どうかん)のエピソードを取り入れた、軽めのネタで愉快な「道灌」と、大ネタで冬の季節に合った人情噺「文七元結(ぶんしちもっとい)」で楽しませてくれました。昨年11月は、年下の夫と一緒になった髪結いの女房の心を描く「厩火事(うまやかじ)」と、「さる」という言葉を言ってはいけない商家が舞台の「猿後家(さるごけ)」の2題。

 雷蔵は毎年、1年分の口演予告を載せたチラシを作ります。予定する演目を一つずつ、月ごとに分けて掲載。昨年末に配られた今年の八百夜のチラシを見ると、1月の「明烏」のほかに、2月「猫の災難」、3月「抜け雀」、4月「愛宕山」、5月「七段目」、6月「崇徳院」と、古典落語の演目がずらりと並んでいます。

 たとえば「七段目」は、芝居大好きの若旦那と小僧が、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」祇園一力茶屋(いちりきぢゃや)の場のせりふを言い合って盛り上がる。「抜け雀」では、宿に泊まった一文無しの絵師が描いた雀が、絵から抜け出て大評判に………。落語には映像はつきません。話を聞きながら、登場人物たちの様子や光景を、それぞれ頭の中で思い思いに想像する。それもまた、落語の醍醐味です。

 先ほどお話しした、折り返しの400回は7月です。予定されている演目は、あの古今亭志ん生も得意にした、怪談噺の「もう半分」です。「雷蔵八百夜」にとっても「もう半分」。しゃれがきいています。

 雷蔵自身は「ひとつの通過点。どうってことはないですよ」とクールですが、毎回のように足を運んで聴いている客にとっては、「半分まで来た」と感慨深い夜になるに違いありません。


筆者

鶴田智

鶴田智(つるた・さとし) 朝日新聞記者

1984年朝日新聞社入社。地域面編集センター次長、CSR推進部企画委員、「声」欄デスクを務め、現在、校閲センター記者。古典芸能にひかれ、歌舞伎は毎月観劇、落語は面白そうだと思えばできるだけ見に行く。