2019年02月12日
『まんぷく』の食べ物については、当連載「テレビめし」でもう総括が済んでいる。
「この番組では、“食べ物を美味しく描写する”のではなく、“食べ物を美味しいと思う感情を描写する”」
もうこれで決まり。番組ポスターがご飯茶碗を持つ安藤サクラであり、「食べることが大好きな」という設定でありながら、出てくる食べ物が味気ないもんばっか。最初のうち、屋台で松井玲奈とかといっしょに食べるラーメンについて、公式サイトで「いかに手間暇かけてこの消え物をつくったか」みたいな自画自賛をしていたけれど、そうまで言われても「うーむ、麻の服着た奥さんがやってる手作り自然食のカフェ的な味気なさ……」を感じたものであった。それがひっかかってしょうがなかったけど、食べ物そのものを見るのではない、福子や萬平さんや子供たちが「おいしい!」「おいしいからしあわせ!」って言ってる、そこを見るドラマなのですよ。食いもんのほうを見たらダメ!
と、その件について解決したと思っていたのですが……
『まんぷく』における食べ物は新たなステージに突入している。
見るからにまずそう……!
これは制作側としても、確たる理由があろう。何しろ今、萬平さんが「即席ラーメン」を思いついて、その実現の途上であって、つまり「失敗してるとこ」を見せることがドラマなのだ。失敗したものはまずいだろうと、それはわかる。
しかしこれ、まずさの方向性、というかまずさの表現方法がまちがってる気がする
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