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築地市場の「のれん」で小池都知事と闘う人々

永尾俊彦 ルポライター

人びとの営みが権利になる

 村木さんは豊洲に行くしかないかと諦めかけていた。

 2018年5月、仲卸有志が明治学院大学名誉教授の熊本一規さんを招いて開いた学習会に村木さんも誘われて参加した。

 熊本さんは、江戸時代から続く入会権や漁業権、水利権など、今日「コモンズの権利」と呼ばれる持続可能な社会の土台になる権利の研究者だ。

 各地の環境を破壊する公共事業の現場を歩き、時には座り込みにも参加し、助言、運動を支えてきた。これまで約20の埋め立て、ダム、原発などの計画を止めた。「権利はお上が与えるのではない。人々の営みが続いていけば、それが権利になるんです」が持論だ。

 熊本さんの学習会で、村木さんは仲卸には「のれん」(暖簾)というブランドに基づく営業権があることを知る。営業権は憲法が保障する財産権で、都は正当な補償をしなければ仲卸らを移転させられないと聞き、「びっくりした」。 ・・・ログインして読む
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筆者

永尾俊彦

永尾俊彦(ながお・としひこ) ルポライター

1957年、東京都生まれ。毎日新聞記者を経てルポライター。1997年の諫早湾の閉め切りから諫早湾干拓事業を継続的に取材。主な著書に『ルポ 諫早の叫び――よみがえれ干潟ともやいの心』(岩波書店)、『ルポ どうなる? どうする? 築地市場――みんなの市場をつくる』(岩波ブックレット)、『国家と石綿――ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い』(現代書館)など。