
強制性交罪で起訴された新井浩文被告。俳優としての評価は高かった
お笑い芸人の卵たちのライブを観に行った。つい最近のことだ。まだデビュー前の彼らを前に、司会の人気タレントが言っていた。「女と薬は絶対ダメだからね。この世界、一発退場だから」。
新井浩文被告が2月21日、強制性交罪で起訴された。これで彼はもう、芸能界からの「退場」が決定した。そう言っていいのだろう。本当に大バカ者だと思う。
話を少しさかのぼらせる。2018年12月、フジテレビは映画『マスカレード・ホテル』を盛り上げることに全力投球していた。主演する木村拓哉がかつて主演したドラマ、その再放送を連日繰り広げていたのだ。
まずは「ヒーロー」を12月14日から1月18日まで。18日が映画公開日だったからもうおしまいかと思いきや、1月21日から「プライド」再放送が始まった。2004年放映の「月9」で、木村はアイスホッケー選手を演じていた。
思い入れがあるドラマでも何でもなかったが、見た。新井浩文被告が出ていたからだ。
彼が出ていたのは10話と11話だけだった。が、フジテレビにとって間の悪いことに、その再放送が予定されていたのが、2月1日という逮捕の日からすぐ、4日から6日までだった。同社はその日のうちに彼の出演部分をカットして放送すると決め、そのことがすぐに報じられた。
新井浩文という俳優が好きだった。この文章も、それを前提に書いている。
好きだった俳優が逮捕されたからあれこれネット検索し、「プライド」はFOD(フジテレビオンデマンド)でも見られることを知った。「1カ月無料お試し」コースに入り、視聴したのが2月7日。15年前の彼は、まだ少し幼さの残る顔つきだった。ヒョロリとした体型を持て余すような演技で、それがいい味になっていた。
だが、今はもう見られない。この原稿を書くにあたりFODを再視聴したら、起訴よりずっと前に「新井いないバージョン」に変わっていた。