今の若者は昔の何倍もリスクを背負っている
2019年03月06日
アルバイト店員によるSNSへの不適切動画投稿が相次いで問題になっている件で、前回の記事「くら寿司バイトテロ問題は企業の身から出た錆」では、「質を担保出来るとは思えない求人募集」と「あまりに低い正規雇用比率」という二つの点から、企業の側にも事件発生に関してある程度の責任はあるとの見解を書きました。その一方で、私は消費者の側にも問題があると感じています。
前回の記事でも触れたように、くら寿司は正社員比率がわずか10人に1人ですが、その数字を見た際、「これではアルバイトの管理監督や教育がうまく行き渡らない可能性も十分にあるだろう」と考えるのが自然であるのと同じく、「人件費にお金をかけていない企業のサービスの質は悪くて当然だろう」と考えるのが普通のはずです。食材や商品等では「安いものほど品質は落ちる」というイメージを持つ人も多いと思いますが、それは人材に関しても言えることです。
デフレ時代に成長を続けた回転寿司チェーン業界ですが、それは人件費を徹底的に削ることで、商品価格を抑えた面も大きく影響しているのではないでしょうか。そのような企業は当然、人件費にお金をかけている企業よりも、従業員による不適切行動が発生する確率は高いはずです。
ところが、なぜか人材の質の話になると、「安いと質も落ちる」という原則が考えられない人が多いように感じるのです。「アルバイト店員が全体の9割近くを占める職場であっても、不届き者が一切入らないようにするべきだ」というのは、ハードルが極めて高い理不尽な要求でしょう。それなのに、消費者やメディアも、「安かろう良かろう」「人件費の高低に関係なく提供されるサービスは常に平均以上で当然である」と考えているように見えて仕方ありません。
たとえば、株式会社ZOZOのコミュニケーションデザイン室長であり、インターネット上のインフルエンサーでもある田端信太郎氏は、2018年1月に自身のTwitterで「タクシー運転手は、お客さんに道を一回聞くごとに、タクシー料金を1割ずつくらい割り引くべき」と述べていました。
つまりサービス提供側を買い叩く思考が蔓延しているように感じるのです。特に昨今は自己責任論が拡大していると言われ、そのような言説をマスメディアやインターネット上で目にする機会は非常に多くなったように感じます。
これでは、従業員が「サービスの質を改善することで、より高い報酬を得よう」というインセンティブにもつながりません。企業の経営者も、問題が起こった時にだけ罰を与える等の対処をすればよいことになるので、「トカゲの尻尾のうまい切り方」のノウハウばかりを身に着けることでしょう。
日本は先進諸国の中でも最もサービス業の労働生産性が低いことが問題となっていますが、このようにサービスに対して敬意もなく、十分なお金を払わない消費者のスタンスも、生産性を低める要因の一つではないでしょうか?
そしてそのような労働環境であれば、アルバイト店員にとって
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