メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

1912年9月13日、殉死の日、東京・赤坂の自宅で、正装で写真におさまった乃木希典大将拡大1912年9月13日、東京・赤坂の自宅で、正装して写真におさまった乃木希典大将。この日、殉死することになる

国家/個人の「二重性」のうちに揺れ動く

 冷笑と共感は、漱石の『こころ』(1914)にも流れ込んでいる。「先生」の長文の手紙は「明治の精神」の終焉を語って名高いが、その語調には、漱石自身の人生と時代に対する微量のアイロニーも含まれているように思えてならない。たとえば「明治の精神が天皇に始まって天皇に終った」と感じた「先生」が、「最も強く明治の影響を受けた私どもが、その後に生き残っているのは畢竟時勢遅れ」ではないかと気づいたというくだり。「時勢遅れ」の言葉つきに、嘲笑を薄く刷いた自己憐憫を感じるのは私だけだろうか。

 さらに注意すべきは、そう語った相手の応対である。

・・・ログインして読む
(残り:約414文字/本文:約2565文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

菊地史彦

菊地史彦(きくち・ふみひこ) ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師

1952年、東京生まれ。76年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。89年、同社を退社。編集工学研究所などを経て、99年、ケイズワークを設立。企業の組織・コミュニケーション課題などのコンサルティングを行なうとともに、戦後史を中心に、<社会意識>の変容を考察している。現在、株式会社ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員。著書に『「若者」の時代』(トランスビュー、2015)、『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー、2013)など。

菊地史彦の記事

もっと見る