青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
NGT48の山口真帆さんがファンの男性二人に暴行された事件について第三者委員会の調査報告書が公表された。
事件の概要については今さらここで説明するのも煩雑であるので(皆さんだいたいのことは聞いたことあるでしょう)、まずは公表された報告書、およびその報告書を受けてのNGT運営の、この事件に対するコメント(報告書の前に書いてある)をお読みいただくのがいいと思う。事件がどのようなものであったのかも書いてある。ちょっと長いけどスラスラ読める。
一読してびっくりしたのは、暴行事件についての詳細だ。あらためて読んで震え上がった。
山口さんの告発以降、ファンの間でも当然大きな騒ぎになって、彼らとその一味を厳罰に処せという声が盛り上がったのは当然として、こういう告発事件につきものの揺り戻しみたいなのもきて「あれは実はそもそも事件と言えるようなものじゃない」「まほほん(←山口さんの愛称)は思い込み激しいから」というようなことが言われていたのだ。「だって犯人は逮捕はされたけど不起訴で釈放されてるじゃん、たいしたことなかったんだろ」みたいな。いやほんと、もっとひどいこと言ってるやついっぱいいたもん。#MeToo運動のバックラッシュはこんなところにも確実にやってくる。
そしたら、報告書を読んでみると、こめかみを押すようにして顔をつかまれるとか、玄関に押し入って押し倒そうとするとか、男の一人は向かいの部屋を借りてるとか、「なんだこれみんなホントのことかよ!」と驚愕した(第三者委員会は捜査権がないので事実認定には留保がつくわけだけど、運営会社のAKSはこの報告書を受け入れてその後の処置も決定しているので、今の時点でこの報告書に書かれたことを事実だと前提にして話を進める)。