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山口真帆さん「暴行事件」にみる文化圏の違い

青木るえか エッセイスト

拡大今回の事件は、ファンとアイドルとの関係性が問われている

文化の違う人間が力ずくでやってきた恐怖

 報告書を読むと、このあたりについては割と冷静に、あったことを書いてあるといった印象だ。冷静なだけに怖さも際立つのだが。他のメンバーの関わりについても書いてある。

 私の読んだ感じだと、

・男たちは何人かのメンバーと知り合いであり→AKBグループの特徴として、握手会に頻繁に通えば顔と名前をおぼえてもらうぐらいは誰でもふつうに可能
・携帯だかLINEだかで連絡取れるような仲で→つながり、の線引きはここからだろう
・公演会場や握手会場の外でプライベートで会ったりしている→道で挨拶、とかではない

 ここまでは別に犯罪行為ではない。AKB的には問題視されるとしても、このことだけで解雇はさせられないだろう。

 男たちと、何人かのメンバーは、そういうつながりの仲であった。そして「家に行っちゃいなよー」「むりやり行っちゃえばなんとかなるよー」とか「あいつウザイんだよねー」的な会話をふつーにしていたんじゃなかろうか。このテの会話を日常的にしてる人たちっているじゃないですか。

 息をするようにそういう会話で盛り上がるノリ。

 だからといって、それが犯行を示唆とか教唆とか、そんな計画的なものではなさそうだ。計画できるような能力も感じられない。しかし場当たり的になんかやっちゃいそうという軽さ。

 そのメンバーや男たちと、山口さんでは文化や教養がまるで別なんだろう。彼らがどこまでのことをしようとして山口さんの玄関に押し入ったかはわからないが(レイプまでしようとは思ってないと思う。ただしそれは彼らの頭の中にある「レイプ」。玄関に押し入って仲良くなったらセックスできるかも、ぐらいは思っていたかもしれない。……仲良くなれるかも、と思うことがすでに山口さんの文化と遠く隔たってるだろう)、文化の違う人間が力ずくでやってきたら恐怖以外の何物でもない。

 不起訴処分になろうがなるまいが、男たちには恐怖しか感じない。アメリカでハロウィンの格好で家を訪問したら射殺された事件、あれを思い出した。あれはどっちも悪くない、不幸な事件で、今回の事件は明らかに男たちが悪いんだけど。でも悪いことしてる意識はないのだ。それってものすごく怖ろしい。山口さん、そりゃ死に物狂いで抵抗するよ。その後の告発も含めて。

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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