メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

内田裕也はどのような功績を残したか

印南敦史 作家、書評家

内田裕也さん=2014年拡大内田裕也さん(1939―2019)

ただの面倒な人ではなかった

 内田裕也逝去の報道が流れた際に感じたのは、「自分にはそのことについて、なにかを主張する資格はないだろう」ということだった。当然ながら交流があったわけでもなく、それ以前に、1962年生まれの私にとっての彼は少なからず「よくわからない人」だったからだ。

 日劇ウエスタンカーニバルで歌手デビューしたという1959年にはまだ生まれていなかったし、1966年のザ・ビートルズ来日公演で前座を担当したと聞けば「すごいなぁ」とは思うものの、なにしろ4歳だったので記憶にはない。

 それに彼には歌手としてのヒット曲、あるいは代表曲がないのだ。3月18日付の朝日新聞デジタルには「ロック歌手の内田裕也さん死去」という見出しがついていたが、現実的にソロ歌手としての実績はほぼないと言っていいのだ。

 ネットニュースの記事中には「『シェキナベイベー』の名言も残した」という一文があったので苦笑してしまったが、それは「名言」ではないし、書くことがなかったのではないかと推測したくもなってしまった。

 代わりに強烈な印象として残っているのは、樹木希林との不思議な関係、東京都知事選挙への立候補、大麻取締法違反による逮捕、交際女性への脅迫など「音楽以外」のことばかり。

 しかも、率直に言って印象のよくないことのほうが多いため、「ロック界のレジェンド」と言われてもピンとこないのだ。素行の悪さをロックと紐づけることは不可能ではないのかもしれないが、さすがにそれはこじつけっぽい。

 とはいえ決して、死者に鞭打ちたいわけではない。しかし内田裕也という人のことに触れるならば、まずはそのことを避けて通ることはできないと思うのである。

都議会の傍聴に訪れた内田裕也さん=2016年拡大都議会の傍聴に訪れた内田裕也さん=2016年

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フローリーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)ほか多数。新刊は『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)

印南敦史の記事

もっと見る