247の元号を調べてみたら
2019年04月01日
2019年5月1日、いよいよ元号が変わります。新元号は「令和」。日本の元号は、645年の「大化」から2019年の「平成」まで、247を数えます。過去の元号にまつわる5つの疑問について、調べてみました。
日本の元号は、奈良時代の例外(天平感宝、天平勝宝、天平宝字、天平神護、神護景雲の5つ)を除いて、すべて漢字2文字でした。そして、発祥の地である中国と違って、一度使った年号は使い回さない、という決まりになっています。
ただし、漢字の再利用はOKとします。実際、過去の年号を見てみると、何度も使われた「人気の漢字」がある一方で、一度きりの漢字もあることがわかります。
そこで、過去に使われた漢字の頻度をグラフにしてみました(以下、元号のデータについて特記ない場合は、『朝日新聞の用語の手引き』=朝日新聞出版刊=に基づきます。南北朝時代に並行して用いられた元号は、それぞれ別の元号として計算しています)。
(この図版はインラクティブ・グラフとなっており、右上の定規を操作すると表示するデータの範囲を変えられます)
使用頻度の第一位は、「永」の29回。この「永」と、28回の「元」、27回の「天」がトップ集団を形成し、「治」「応」「正」「長」「文」「和」が第二グループとして続きます。こうして並べて見ると、元号にこめられた人々の「思い」が浮かび上がってくるような気もします。
他方、一度しか使われなかった漢字は、29個あります。「乾」「感」「吉」「亨」「興」「景」「衡」「国」「至」「字」「朱」「授」「勝」などです。
使用頻度の差をよりわかりやすくするために、「ワードクラウド」にもまとめてみました。文字の大きさは、使われた頻度を示しています。
ワードクラウドとは何か? については、以下をご参照ください。
ワートクラウドとは?
文章中で出現頻度が高い単語を複数選び出し、その頻度に応じた大きさで図示する手法。ウェブページやブログなどに頻出する単語を自動的に並べることなどを指す。文字の大きさだけでなく、色、字体、向きに変化をつけることで、文章の内容をひと目で印象づけることができる(コトバンク:デジタル大辞泉)。
前項でちょっと気になるのが、わずか1年しか使われなかった元号(の漢字)も、数十年にわたって使われ続けた元号(の漢字)も、同じ「1(度)」として数えているところ。
たとえば、「延応」年は、わずか1年しか続かなかったのに対して、「延暦」年間は24年もありました(注:元号の年の数え方にはさまざまな考え方がありますが、ここでは計算の便宜のため、単純に西暦の終了年から開始年を引いています。1年未満は「0」と考えます)。
この2つの元号で使われた「延」を、同じ重さで見てしまうのは適切でないかもしれません。
そこで次の計算式で、それぞれの漢字が用いられた「期間」を計算してみます。
例)「延暦」年間は24年 → 「延」は12年、「暦」は12年使われたと考える。
科学的、専門的な検証に耐えうるような方法ではありませんが、一つの目安にはなるかもしれません。
この方法で、それぞれが使われた「年数」の多い順に漢字を並べてみると、次のようなグラフになりました。
第一位は、「永」の184年、続いて、「天」「和」「文」「平」「正」が続きます。
どれも歴史の教科書や古文などで、馴染み深い漢字ばかり。元号の漢字として、このあたりの文字が「メジャー」ということなのでしょう。
それに対して、「鳥」「感」などの数値は、「ゼロ」(それぞれ、「朱鳥」〈686年〉、「天平感宝」〈749年〉に用いられました)となります。
元号を印象づける要素としては、何と言っても漢字が第一ですが、会話の中では、「音」も大事です。
中でも、第一文字の「読み」が注目されます。
第一文字の「読み」だけを取り出して、その頻度を調べて見たのが、次のグラフです。
なお、「読み」は前掲の『朝日新聞の用語の手引き』に準拠し、一つの元号に対して複数の読みがある場合は、次のような基準で採用しました。
・清音と濁音の2つが掲げられている場合は、清音を優先する
・「朱鳥」は「しゅちょう」、「貞」は「じょう」、「慶」は「けい」とする
今回の元号改定では、頭文字のアルファベット表記も注目されました。近代以後の元号である明治、大正、昭和、平成の「M」「T」「S」「H」と同じになる元号を採用した場合、事務処理やコンピューター処理で支障をきたす懸念が指摘されたからです。
過去の元号について、アルファベット略称を頻度順に整理してみたのが次の図です(複数の読みがある場合の選択は上記と同じ基準で選択し、「じ」は「J」、「ち」は「C」としました)。
平安中期以降の元号については、案の策定から決定に至るまでの過程が、各種資料によって現代に伝えられています。その中から、「採用されなかった(未採用)」元号案だけを抜き出したリストが、『元号 年号から読み解く日本史』(所功・久禮丹雄・吉野健一著 文藝春秋)の巻末にまとめられています。
同リストから、採用されなかった案を頻度順に並べてみると、「落選」回数が最も多いのは、
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