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新納慎也インタビュー(上)

舞台『hymns』出演 「会話の中にちりばめられた言葉が心に刺さる」

真名子陽子 ライター、エディター


拡大新納慎也=岩田えり撮影〈衣裳提供:GARROT(GARROT(ガロ)/03-6434-9929)〉

 4月11日(木)に東京・博品館劇場で、鈴木勝秀さん脚本・演出、佐藤アツヒロさん主演の舞台『hymns』が開幕します(4月21日まで。4月22日大阪公演あり)。2008年に同じく佐藤アツヒロさん主演で上演された『HYMNS』は、モノトーンの世界にシンプルな舞台装置、そして効果的な照明の中で男たちが繰り広げる心理ドラマで、今回は5人の男たちの物語としてリライトされ新演出として上演されます。その5人の男のひとりクロエ役を演じる新納慎也さんにお話を伺いました。

 スズカツワールドの魅力とは? ギャンブルで生計を立てる謎の男クロエとは何者なのか…? 佐藤さん演じるオガワにとってクロエの存在とは? クロエという名前にそんな理由が……?

 お稽古も中盤に差し掛かったころのインタビューで、クロエという人物に苦しんでいると語る新納さんの答えの一つひとつには、「なるほど~」と深く頷くことばかり。さらに深まるであろう『hymns』の世界に浸れることが、俄然楽しみになりました。作品以外のお話では、ミュージカル作品に出ているご自身についての思いや、暗い芝居が好きという理由、役者としてやり続けたい事などを語ってくれました。また違った新納さんを知ることができるのではないかと思います。

 そして撮影ではいろんな表情を繰り広げてくれた新納さん。カメラマンさんはずっとシャッターを切り続けるのではないかと心配したほど。偶然にも(?)背景が「黒」と「白」になっていますが、それも作品のキーワードになっています。

“なるほど!”ではなく“ふーん……”

拡大新納慎也=岩田えり撮影〈衣裳提供:GARROT(GARROT(ガロ)/03-6434-9929)〉

――鈴木さんの作品はスズカツワールドとよく言われていますが、まずこの作品へ出演が決まった時の感想をお願いします。

 スズカツさんとはこれまでに2本、一緒にやっているんですけれども、とても好きな世界観で、スズカツさんの稽古場の居方や演出の仕方がすごく好きなんです。

――それはどういったところが?

 初めてご一緒する前に、噂でスズカツさんは稽古場で何も言わない方だと聞いていたんですが、まったくそんなことはなくて、むしろ役者の心情や生理などをとても大事にしてくれる方でした。3歩下がって振り返ってここでセリフを言う、といったような演出をする演出家ではなく、役者が気持ち良い状態でセリフが言えるようになるまで待つ方、という印象でした。でも、こういう風に動いてほしいという意思はちゃんとお持ちで、今回は今までよりも演出が入っているほうなんじゃないかなと思います。

――スズカツさんの作品の魅力はどういうところにあると思いますか?

 スズカツさんのオリジナル作品『ハナガタミ』で、尾上松也くんと2人芝居をしたことがあるんですが、その作品のことで覚えているのは膨大なセリフ量!(笑)。でも、とても世界観があって、演劇的と言えば演劇的なんだけど……わかったような、わからないようなふわっとした感じで、芝居が終わった時に、“なるほど!”ではなく“ふーん……”ってなるんだけど、しばらくの間心にベタっと素敵な何かが残る芝居なんです。だから、今回のお話をいただいた時は、二つ返事で「出ます」と言いましたね。

今はあの結末にすごく納得しています

拡大新納慎也=岩田えり撮影〈衣裳提供:GARROT(GARROT(ガロ)/03-6434-9929)〉

――実際に台本を読まれてどんな印象を持たれましたか?

 台本を読んだ時は、まさに“ザ・スズカツワールド”という感じで、「え? ここで終わるの?」と思いました。

――私も読ませていただいたんですが、結末に「え?」と思いました。

 そうですよね。でも、「え?」って感じる人もいると思うけれど、今、実際に稽古に入って演じてみると納得の結末なんです。最初からあのラストに向かって、あそこのために僕が演じるクロエは登場しているんです。アツヒロくん演じるオガワとの出会いから、最後のそのためだけにクロエを演じています。だから今はあの結末にすごく納得していますね。

――そうなんですね。

 そして、スズカツさんの作品の良いところは、何でもない会話の中にちりばめられた言葉が、心に鋭利に刺さるんです。

――それは私も感じることができました。新納さん演じるクロエの言葉には特に感じます。

 でしょう!? なるほどって思いますよね。前回の作品もお客さまから、「何でもない場面で言っていた言葉が心に残って書き留めました」と言っていただいたり、自分でセリフを言ってても「そうなんだよなぁ…」って思ったりしていましたね。そういう言葉が今回もたくさんあって、スズカツさんの作品だなあと感じながら稽古しています。

――そのクロエ役ですが演じてみていかがですか?

 今まさにクロエという人物に苦しんでいます。なんていうのかな……“屁理屈王者”なんですね。アツヒロくん演じるオガワを論破するんだけど、でもクロエの言ってることはすごく的を射ていて、その通り!と思うし、クロエの言うように生きられたら良いよねって思わせる男なんです。だからセリフがめっちゃ多いんです(笑)。そのクロエのセリフにどきっとさせられたり、頷かせられたり、そういうセリフがすごく多いです。

――そうですね。

 稽古をしながらクロエをどういう男として演じようかと思っていて、こういう風にお客さまがキャッチしてくれたら良いなというイメージはあるんだけど、それをどういう形で提示したらそうなるのか、今はそれを模索しています。

◆公演情報◆
舞台『hymns』
東京:2019年4月11日(木)~4月21日(日) 博品館劇場
大阪:2019年4月22日(月) サンケイホールブリーゼ
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:鈴木勝秀
[出演]
佐藤アツヒロ
中山祐一朗 山岸門人 陰山泰
新納慎也
〈新納慎也さんプロフィル〉
16歳の時スカウトがきっかけでモデルの仕事を始める。CM・コレクション・雑誌などで活躍。その歌唱力とダンス力、モデル出身の容姿を武器にミュージカルを中心に活動。その後、ストレートプレイやテレビドラマなど活躍の場を広げる。2009年には『TALK LIKE SINGING』でNEW YORK OFF BROADWAYデビューを果たす。最近の主な舞台出演作品は、『日本の歴史』『生きる』『ラ・カージュ・オ・フォール』『パジャマ・ゲーム』『パレード』『スルース~探偵~』など。
新納慎也公式ブログ
新納慎也公式ツイッター

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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