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新納慎也インタビュー(下)

舞台『hymns』出演「観終わった後は、ちょっと心が軽くなる」

真名子陽子 ライター、エディター


新納慎也インタビュー(上)

“クロエセラピー”を受けたみたいに

拡大新納慎也=岩田えり撮影〈衣裳提供:GARROT(GARROT(ガロ)/03-6434-9929)〉

――クロエは実在しない存在ということですが、実際には舞台上に登場します。その上で、オガワにとってクロエの存在とは?

 オガワを何とかしたいと考える男ではないですね。単純に住むところがないからオガワの家に住んでいて、自分にはまったくない考えをしているから、オガワがむかついて仕方がない。何をグズグズ、イジイジしてるの?ガタガタ言わずにやれよと。でもオガワのことが好きなんですよね。彼の描いた絵を見て、オガワと俺の中身は似ていると。そういうところが好きなんですね。だから絵をやめるなとクロエは言うんです。でも、そこに至るまでの性格が気にいらない。ただ、得てして友達というものはそういうもので、お互いにないところを補っていくところってあるじゃないですか。だから2人の関係は言い合ってバラバラのようだけど、どんどん釣り合ってバランスが良くなっていく。その過程がおもしろいなと思います。

――オガワを演じる佐藤アツヒロさんはいかがでしょう? お二人で自主稽古をされていると聞きましたが……

 アハハ。もうね、自主稽古というより居残り稽古ですね。自分たちで、これではダメだ、今日残ります!と。昨日なんて残ってやりますから先に進んでくださいって自分たちから言いましたもん(笑)。なんかね、ナナシ、ムメイ、ナカハラという登場人物が出てきて、それぞれがオガワと対峙していくんですけど、ナカハラさんは画商で、ちゃんと会話が成立しているんですね。ナナシとムメイはオガワにとって良い影響を与える人たちではないんだけど、あの時はこういうことを言われたよね、といった過去のシーンとして登場します。でも、それもリアルな会話として成立しているんです。ただクロエとはオガワの中にいる人と対峙することになるので、一見会話が成り立っているように見えるんだけど、オガワがすごく抽象的なことを言うんですよ。クロエはオガワに対して理路整然と、なぜお前はこうなんだと現実をバチッと当てるんですけど、それに対してオガワは心の中を文章にしてそれを言葉にして伝えるんです、クロエに。それが抽象的だからものすごく覚えにくいんだと思うんです(笑)。

拡大新納慎也=岩田えり撮影〈衣裳提供:GARROT(GARROT(ガロ)/03-6434-9929)〉

――なるほど……。

 稽古を見ていると他の方との会話はすんなりいくのに、クロエとの会話ではすごく詰まっていたんです。僕がちゃんとセリフを渡せてないのかなと思ってアツヒロくんに聞いたら違うんだと。確かにオガワのセリフを読んでいると、クロエの質問に対して答えるセリフがすごく難しい。結構な分量で抽象的なことをしゃべっているので、よく覚えたよねって(笑)。

――(笑)。どう難しいんですか?

 普段、人に何かを説明するのにその言葉は使わないよね、という言葉を使うんです。今のこの感情はさぁってあまり説明しないですよね。でも、その言葉にして伝えないようなことを一生懸命クロエに言わされるんです。だからものすごく難しいんですよ、オガワの言うことが。

――お客さまはどう受け止めるんでしょうね。

 結局オガワが主役なので、オガワに感情移入してスタートすると思います。芸術家じゃなくても、言葉にしたことはないけれどその感情はわかる、そんな時はそうなってしまうよ、と感じると思うんです。で、それに対してクロエが、黙れ!だからこうすればいいんだよ、とバシッと言うので、ある種セラピーみたいな感じですよね。だから観終わった後は、ちょっと心が軽くなってるんじゃないかなと思います。“クロエセラピー”を受けたみたいな感じになるんじゃないかな。

――クロエセラピー……良いですね。クロエにいて欲しいです。

 そうなんですよ。家に帰ったらいて欲しい……でも、うっとうしいと思うけどね。「セリフ覚えられへんねん、どうしよう?」って言ったら、「覚えられるまでやるんだよ、バカ!」と言われて、「ですよねぇ~」ってね(笑)。

◆公演情報◆
舞台『hymns』
東京:2019年4月11日(木)~4月21日(日) 博品館劇場
大阪:2019年4月22日(月) サンケイホールブリーゼ
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:鈴木勝秀
[出演]
佐藤アツヒロ
中山祐一朗 山岸門人 陰山泰
新納慎也
〈新納慎也さんプロフィル〉
16歳の時スカウトがきっかけでモデルの仕事を始める。CM・コレクション・雑誌などで活躍。その歌唱力とダンス力、モデル出身の容姿を武器にミュージカルを中心に活動。その後、ストレートプレイやテレビドラマなど活躍の場を広げる。2009年には『TALK LIKE SINGING』でNEW YORK OFF BROADWAYデビューを果たす。最近の主な舞台出演作品は、『日本の歴史』『生きる』『ラ・カージュ・オ・フォール』『パジャマ・ゲーム』『パレード』『スルース~探偵~』など。
新納慎也公式ブログ
新納慎也公式ツイッター

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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