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父娘「準強かん」、異常な無罪判決と裁判官の無知

性的虐待被害者への想像力があまりに欠如していないか

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

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娘が性的に受容することなどない

 裁判官は、それにもかかわらず「抗拒不能の状態にまで至っていたと断定するには、なお合理的な疑いが残る」と判断したというが(同記事)、それは要するに、娘が父親の性交を性的な意味で受け入れる部分がわずかながらもあったと見なしたということであろう。だが、そんなことはAVや小説の中でしか起こらない。

 なるほど、強かんされた場合でも、クリトリスに加えられた刺激によっては、時に当人が快感を覚えることはありうる(吉田タカコ『子どもと性犯罪』集英社新書、2001年、88-89頁)。だがそれと、実父との性交を受容することとは、全く別の事柄である。男性でも亀頭をさわられたら刺激を感ずることがありうると想像できるだろう。裁判官は今回の事件について、娘が父親の性交要求を ・・・ログインして読む
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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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