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男役17年、感謝の思い胸に有終の美/美弥るりか

【宝塚~朗らかに~】東京宝塚劇場で退団公演

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ4月11日紙面(東京本社発行版)より】

拡大感謝の思いを胸に退団公演に臨んでいる美弥るりか(撮影・白石智彦)
 月組の2番手スター美弥(みや)るりかは、兵庫・宝塚大劇場での退団公演「夢現無双-吉川英治原作『宮本武蔵』より-」「クルンテープ 天使の都」も終盤に入った。15日の千秋楽で、本拠地に別れを告げる。男役17年。その集大成は、トップ珠城りょうふんする宮本武蔵と相対する佐々木小次郎役。今、幸福感に包まれているといい、色紙に「感謝」としたためた。東京宝塚劇場は5月3日~6月9日。東京公演千秋楽をもって退団する。

 きゃしゃな体で磨いてきた男役。卒業にあたり、その笑顔は、すがすがしい。

 「男役が大好き。『これが私の男役だ』と思える瞬間までやりたいと思ってきた。いろんな役をやらせていただき、自分の力以上の物を引き出していただいた。今、こんなにも充実し、幸せな気持ちで卒業できるのも、奇跡だと思います」

 充実感に満ちた表情。「よくここまでやってきたな、と。卒業の日に初めて、自分をほめたいと思う」と言うと、また頬を緩めた。

 芝居で演じる佐々木小次郎は、信念を貫く孤高の剣士として描かれる。映像作品を複数鑑賞し、高倉健さんの小次郎を参考にした。

 「武蔵が最後の目標にするほどの大きさ、存在感が必要。高倉健さんのぶれない強さを参考に。武蔵とのいでたち、表情の違いも。普段、感情を顔に出さないからこそ、ほんの少し顔をゆがめれば悔しいと…」

 立ち回りも力強さの武蔵に、鋭敏さで対する。剣は背負い、流れるような動きで背後から剣を引き抜く。

 「小次郎の剣はすごく長くて、抜くのもしまうのも難しく…。でも、スマートに。小次郎がしくじることはできないから(笑い)」

 珠城演じる武蔵との対比も鍵になる。16年秋、9年目でトップにスピード就任した珠城は5年後輩。2番手スターとして支え、珠城に「美弥さんと出会えたことは財産」と言わしめた。

 「組が走りだす前は、上級生の自分(の存在)が(珠城を)緊張させてしまうのではと心配で。りょうちゃんも不安だったと思う。でもだからこそ、互いを思い、気持ちが寄り添った」

 男らしさを武器にする珠城と、細身ながら華やかなオーラの美弥。武蔵と小次郎のようにまったく異なる持ち味。だが「頼もしく、安心感があった」と振り返る。「卒業するときに、りょうちゃんがトップの月組にいられて良かった」。絆が幸福感を増幅させる。子供のころから宝塚ファン。細身ゆえ女役も多かった。

 「思うようにいかず、腐りそうになった時期もあった。でも、自分を見にきてくださる方が1人でもいる限り…と。カメさんのように少しずつでも進めば、後で宝物が待っている」

 同期には花組トップ明日海りお、雪組トップ望海風斗らがいる。個性豊かな89期。今春入団した105期生にも、あこがれの先輩に美弥をあげた者がいた。

 「皆さんの人生のきっかけになったと思うと、うれしくて心がギュッとなる」

 卒業後の具体的な活動へは考えが及ばずとも、すでに決めていることはある。「応援してくださった方々へ、恩返しの期間を作りたい」。ファン個々と対面して、御礼を言うつもりだ。

 「宝塚の美弥るりかは卒業するけれど、この経験が、人として生きてくるように」。大きな瞳は清廉で、卒業の日まで、輝きは日ごと増す。

◆グランステージ「夢現無双-吉川英治原作『宮本武蔵』より-」(脚本・演出=斎藤吉正) ベストセラー小説をもとに、二刀流「二天一流」の開祖、宮本武蔵の生きざまを描く。無類の強さを誇る作州宮本村の郷士・新免武蔵(珠城りょう)は、僧侶・沢庵(光月るう)の教えから名を宮本武蔵と改め、修行へ。民衆の話題をさらう天才剣士・佐々木小次郎(美弥るりか)を最終目標に定める。

◆レビュー・エキゾチカ「クルンテープ 天使の都」(作・演出=藤井大介) 青い海と色鮮やかな花々。南の楽園を舞台にしたエキゾチックなレビュー。

☆美弥(みや)るりか 9月12日、茨城県生まれ。03年入団。星組配属。10年「ハプスブルクの宝剣」で新人公演初主演。12年4月に月組。14年「THE KINGDOM」(大阪、東京特別)で同期の凪七瑠海とダブル主演。昨年は「エリザベート」で皇帝フランツ。今年1月、宝塚バウホール公演「Anna Karenina」主演。身長168センチ。愛称「るりか」「るり」「みやちゃん」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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