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「アイヌ新法」は先住民運動から学んでいない

アイヌの先住権としての所有権・管理権、そして食料の優先的入手権

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

新しいサケを迎え入れる儀式、アシリチェップノミ拡大新しいサケを迎え入れる儀式「アシリチェップノミ」=1987年、札幌市豊平川河川敷

国立公園ではなくコタンの周辺の森こそ重要である

 ところで上記マレー河流域では、自然環境保護のために、国立公園化および先住民による公園管理がめざされたようである(同前、134頁)。その点では、小野有五氏が、大雪山・日高山脈など国立公園・国定公園に指定されている場所の自然の管理をアイヌに委ねようと提案した事実は、確かに興味深い(小野有五編『先住民族のガバナンス――自治権と自然環境の管理をめぐって』、北海道大学大学院法科研究科附属高等法政教育研究センター、2003年、8頁)。

 だがアイヌ政策として重要なのは、土地が国立公園・国定公園かどうかではなく、

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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