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三浦翔平、ピカソ役に挑む

『ピカソとアインシュタイン ~星降る夜の奇跡~』上演中!

真名子陽子 ライター、エディター


拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

 コメディアンでもあり脚本家のスティーヴ・マーティン原作の『ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~』が25日に開幕しました(5月9日まで、東京・よみうり大手町ホール。5月12日、大阪・森ノ宮ピロティホール)。20代のピカソとアインシュタインが出会っていたら……という奇想天外な発想で書かれた本作品は、1993年に世界初演され、当初2日間の上演予定だったのが、あまりにも反響が大きく6カ月のロングラン上演となった作品です。

 日本では1997年と2000年に、ピカソ役に岡本健一さん、アインシュタイン役に川平慈英さんで上演され人気を博しました。19年ぶりに再演される今回は、お二人に加えて、三浦翔平さんと村井良大さんがピカソとアインシュタイン役に挑みます。今作が舞台3作目で、初めてストレートプレイへ出演する三浦翔平さんの取材会が、稽古も中盤に差し掛かった頃に行われ、作品の印象やピカソに対する思いなどを語ってくれました。

……すぐに台本を閉じました(笑)

拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

記者:BLUEバージョンでピカソ、ROSEバージョンで未来からの訪問者の二役を演じられます。二役を演じることについてはいかがでしょうか?

三浦:今回はスイッチキャストになっておりまして、僕と村井くんがピカソとアインシュタインを演じているときは、岡本健一さんが未来からの訪問者、川平慈平さんがシュメンディマンを演じて、僕が未来からの訪問者を演じるときは、村井くんがシュメンディマンを演じ、岡本さんと川平さんがピカソとアインシュタインを演じます。ですので、単純に稽古時間が半分になりますし、同じ日にピカソと未来からの訪問者を稽古することがありますので、それに慣れるのに大変でした。演出家のランダル・アーニー(=ランディ)さんや健一さんたち先輩の役者さんに聞いたら、実際に衣装を着てステージに立つとそれぞれの役になれるから心配しなくていいよと言ってくださったのですが、僕はストレートプレイが初めてですので今は二つの役に苦労しております。

記者:実際にお稽古に入られて感じられたことは?

三浦:川平さんを筆頭にとても和気あいあいと仲良く、でも締めるところは締める雰囲気がとても良いですね。ご自身も役者なので、演出のランディがすごく役者寄りの演出というか、とてもやりやすい環境作りをしてくれていると感じます。

記者:最初に台本を読んだときの印象を教えてください。

三浦:……すぐに台本を閉じました(笑)。

(一同笑)

記者:それはなぜですか?

三浦:わからないことだらけだったんです。最初は小説を読むような感じで物語を把握しながら最後まで読んだのですが、何を言ってるんだろう……?となってしまったので、いったん台本を置いて、なかったことに(笑)。でも、稽古が近づくにつれて自分自身のマインドもこの作品へシフトチェンジしていきましたので、また読み始めて……2、30回ぐらい読んだのですが、それでも、何を言ってるんだろうこの人たちは、と。単純に「はい」と答えればいいのに、回りくどい説明をしているんですね。でも、読めば読むほど、これはさっきのセリフのことを言ってるんだな、というようなことをどんどん発見し始めて、コメディアンでもあるスティーヴ・マーティンが書いた原作の面白さがわかってきたんです。

ピカソを演じるのが、難しくもあり楽しい

拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

――脳がハッピーになる舞台とチラシに書いてありますが、どんな作品なんでしょうか?

三浦:このキャッチは川平さんが考えたそうなんですが、観た後はなんともいえない高揚感があるんじゃないかな。ピカソとアインシュタインという名前を聞くだけで難しそうという印象があると思うんですね。でも、コメディです! 19世紀終わりのパリで若かりし頃のピカソとアインシュタインが出会っていたらこんな話をしていたかもね、という物語なんです。そこでいろんなキャラクターとのセッションが生まれるんです。考えさせられる舞台というより、シンプルに「あぁ、おいしかった!」と言える、そんな気持ちになれる舞台です。

――20代のピカソを演じるんですね。

三浦:舞台の設定が1904年なんですけど、その3年後にアインシュタインが相対性理論を出して、その5年後にピカソが「アヴィニョンの娘たち」を描くんですけれど、あと少しで自分の思っている絵が描けるときのピカソ、青の時代の頃のピカソを演じます。終盤ではばら色の時代と言われたピカソが描かれています。だから物語前半のピカソは、どうしようもない苛立ち、アイデアはあるんだけどそれを描けないというジレンマを持っています。あと一つピースがハマれば皆さんが知っているピカソになる、そのピカソを演じます。

拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

――ピカソについていろいろ調べられたんですね。

三浦:良いタイミングで休みができたので、役作りを兼ねてスペインとパリへ行ってきました。よく知られているピカソは、芸術的な絵を描く人というイメージだと思うんですけれども、「アヴィニョンの娘たち」を描く前のピカソ、まさに今回僕が演じるピカソは、社会情勢の不安定さや、親友が死んでしまった悲しみを心に抱えている暗い時期のピカソです。この時期に描いた青をモチーフにした絵は、怖さや苦しみが伝わってくるんですよね。でももっと前のピカソが描いた人物画や風景画はめちゃくちゃうまいんです。「技術は努力しないと身に付かない」というピカソのセリフが劇中にあるんですけれども、元々才能があったうえに技術を身に付けて、でも発想が天才的だから思ったように描けない。その一番目まぐるしく変わる、あと1つのピースがはまる前の、その瞬間のピカソを演じるのが、難しくもあり楽しいですね。

――目まぐるしく変化するんですね。

三浦:スペイン人なのでパッションがすごいんです。「僕は天才。なんで知らないの? 俺はピカソだよ」という態度なんだけれど、その頃はマティスの方が有名なんですね。いろんなアイデアは生まれているんだけど、まだ絵にできない。その情熱が女性に向かうんです。この時期のピカソは、女性か酒か絵。それ以外は一切いらないんですよね。前半のピカソは荒々しくて、もがいていて、イライラしていて、でもそれが未来からの訪問者がやってきたときに殻が割れて……ネタバレになるかな? そんな感じです(笑)。

――その旅行でのエピソードは何かありますか?

三浦:台本を持って“ラパン・アジール”(今作品の舞台にもなっているBar)に行ったんです。知り合いに語学が堪能な方がいましたので、店にいたお客さんにピカソを演じるんだって言ったら、「君がピカソやるんだ、すげえなぁ!」と酔っ払いのおじさんが言ってくれました(笑)。その旅に行ったことでピカソに対する愛着がわいてきましたね。

絶対に今後の糧になる作品だと思った

拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

――初めてストレートプレイですが、お稽古をしていく中で考え方が変わったことなどありますか?

三浦:基本的なスタンスは変わらないです。ストレートプレイの怖さを散々聞いているんですが、絶対に今後の糧になる作品だと思いましたので、お話をいただいた時はすぐにやりますと返事をしました。

――岡本さんのピカソをどのように見ていますか?

三浦:自分にない発想や動き、言い回しなど、良いなと思うところはいただいています。ただ、ランディさんが基本的な動きは付けるんですけど、あとは自由にして良いよという演出なので、健一さんのピカソは僕とはまったく違うピカソになっていて、稽古を見ていて普通に楽しいです。どちらも観て欲しいなあって感じですね!

――それぞれのバージョンの違いは?

三浦:僕らのブルーは熱量ですね。エネルギーが序盤からすごいです。ローズはどっしりしています。なんていうんだろう……もちろんエネルギッシュなんだけど、ベテラン!という凄みを感じます(笑)。

――ピカソの役についての違いは?

三浦:健一さんが言ってくれたのは、翔平がやるピカソは翔平しかできないものだから、もっと自信を持ってガンガンいっちゃえと。僕が思う健一さんのピカソは、技量がもう、やはりベテランだなと感じますし、勉強になることばかりです。役について見落としている部分もあるので、いろいろアドバイスをしていただいてます。

面白くないわけがないです!

拡大三浦翔平=久保秀臣撮影

――では最後にメッセージをお願いします。

三浦:昨日、健一さんにこの舞台の素晴らしさを伝えてこいと言われてきました(笑)。先ほども言いましたが、ピカソとアインシュタインと聞いただけで難しいと思われると思いますが、まったく難しくないですし観た後に幸せな気持ちになります。世界的なコメディアンのスティーヴ・マーティンが書いていますので、面白くないわけがないです! シュメンディマンという僕に言わせると“ずるい”キャラクターが出てきますし、ジェットコースターのように気づいたら終わっているようなとても面白い作品です。楽しい舞台になると思いますので、ぜひ劇場でご覧ください。

◆公演情報◆
ピカソとアインシュタイン〜星降る夜の奇跡〜
東京:2019年4月25日(木)~5月9日(木) よみうり大手町ホール
大阪:2019年5月12日(日) 森ノ宮ピロティホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:スティーヴ・マーティン
演出:ランダル・アーニー
[出演]
(ROSE) 岡本健一 川平慈英/水上京香 吉見一豊 間宮啓行/香寿たつき 松澤一之/村井良大 三浦翔平
(BLUE) 三浦翔平 村井良大/水上京香 吉見一豊 間宮啓行/香寿たつき 松澤一之/川平慈英 岡本健一
★ROSE
ピカソ=岡本健一
アインシュタイン=川平慈英
シュメンディマン=村井良大
訪問者=三浦翔平
★BLUE
ピカソ=三浦翔平
アインシュタイン=村井良大
シュメンディマン=川平慈英
訪問者=岡本健一

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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