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令和でも通用する藤田田氏の「ユダヤの商法」

孫正義氏、柳井正氏も読んだベストセラー『ユダヤの商法』が復刊。その中身とは。

山崎実 書籍編集者(ベストセラーズ書籍編集部)

拡大藤田田さん

藤田田さんの「幻のベストセラー」が復活

 この4月12日、47年ぶりに日本マクドナルド創業者である藤田田(1926年~2004年。以下「田さん」と表記)の『ユダヤの商法』(KKベストセラーズ  新装版)が復刊された。同書は1972(昭和47)年5月に初版、現在までに総計278刷84万7000部(今回の復刊、重版含む)の増刷を重ねたベストセラーである。弊社創業者で担当編集者だった岩瀬順三が1986(昭和61)年に亡くなってから、版を重ねることなく、「古本」市場で2万円近くの高値で取引をされるほどになった。ゆえに「幻のベストセラー」と言われ、復刊待望リクエストを多くの読者からいただいていた。

 初版1万2000部。ネットを中心に「あのユダヤが復刊!」の噂がまたたく間に口コミで広がり、果たして発売解禁後にアマゾンでは在庫3000部が一瞬でなくなり、総合1位となるとともに、リアル書店でも大都市部での売り上げがうなぎ登り、即日「重版決定」となった。

 それにしても、「昭和」に活躍した田さんの『ユダヤの商法』が、「平成」が幕を下ろし「令和」がはじまろうという今、なぜ売れて(バズって)いるのだろう? 制作者の立場から考えてみたい。

バズった四つの理由

 私が思うに、売れている理由は以下の四点に集約される。

1・『ユダヤの商法』がすでに「伝説」だった

拡大『ユダヤの商法』
 田さんの知名度・実績に以上に、『ユダヤの商法』を「バイブル」として読み、影響を受けた経営者が多かったことが第一の理由だ。特に、「ソフトバンク」創業者の孫正義さん、「ユニクロ」の柳井正さんなど日本を代表する経営者が本書を若い時に読み、影響を受けたことを本人たちが語っているのが大きい。(『成功はゴミ箱の中に』=レイ・クロック著、プレジデント社=で両者が解説している)。

 『ユダヤの商法』に感化された当時、17歳の孫さんは、田さんに何度も面会を求め、断られながらも15分ほど面談したという「武勇伝」も残されている。そうした「伝説的名著」として噂(うわさ)が立っていたことが、追い風になっているのは間違いない。

 それはつまり、田さんの「言葉」は“現役”の経営者の血肉としていまなお「生きている」証拠でもあり、それが「口コミ」によって特にウェブで広がったのだろう。

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筆者

山崎実

山崎実(やまざき・みのる) 書籍編集者(ベストセラーズ書籍編集部)

1969年生まれ。早稲田大学商学部卒業。財界展望新社(現・『ZAITEN』編集部)、ナイタイ(『ナイタイマガジン』編集長)を経て、早大雄弁会時代の同級生の選挙を手伝い当選させたのち、2002年、KKベストセラーズ勤務。総合雑誌『CIRCUS』編集部、男性誌『ON.』編集長を経て、書籍編集部へ。「壇蜜写真集」から硬派な書籍など多数制作。今回、『ユダヤの商法』を含む藤田田6冊同時復刊プロジェクトチームの書籍編集統括を務める。