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松本慎也&関戸博一インタビュー(上)

スタジオライフ『11人いる!』が音楽劇となって6年ぶりに上演

真名子陽子 ライター、エディター


拡大松本慎也(右)と関戸博一=岩田えり撮影

 スタジオライフの音楽劇『11人いる!』が18日から池袋・あうるすぽっとにて上演されます。『11人いる!』は1975年に発表された萩尾望都さんの漫画原作で、スタジオライフでは過去に2回上演され、今回は音楽劇として6年ぶりに蘇り、新たな『11人いる!』が誕生します。宇宙を舞台にミステリー要素もあるSF作品で、時代が変わっても人として大切にしたい素敵なテーマがたくさん詰まっています。11人いる登場人物の中、タダトス・レーン(タダ)をダブルキャストで演じる松本慎也さんと関戸博一さんにお話を伺いました。

 お二人はスタジオライフへの入団が同期で、『11人いる!』の過去2作品にも出演しています。3度目の出演となる作品への思い、松本さんは演じ続けているタダ役ともう一役フロル役について、関戸さんは今回が初めてとなるタダ役について語っていただき、そして先月まで公演していた今作と同じ萩尾望都さん原作の『なのはな』公演について、振り返っていただきました。

[STORY]
宇宙大学の入学試験の最終テストは、外部との接触を断たれた宇宙船で10人一組が53日間の宇宙飛行を成し遂げるというもの。非常信号の発信ボタンを押して外部との接触を図れば生命は保証されるが、連帯責任で全員が不合格となる。しかし宇宙船白号には10人のはずがなぜか11人いた。スタートから謎を抱え、閉鎖された宇宙船で次々起こる不可解な出来事。受験生たちの試される時が始まった。

コミュニケーションをとらないと成立しない作品

拡大松本慎也=岩田えり撮影

――『11人いる!』は3度目の上演です。

松本:僕は3度目のタダなんですけど、やはり自分の中に確実にタダがいるというか、台本を読むだけでいろんな感覚がよみがえってきます。タダという役が僕自身の人間性に影響している部分がすごくありますし、タダを演じたことで変わったことなどが感覚として残っています。人として成長させてもらったことなど、稽古をしていて感じますね。

――どんな影響があったのでしょうか?

松本:タダを演じている自分が一番違うのはコミュニケーションだと思います。役を創っている時ってやはりその役に引っ張られて、その役の感覚でコミュニケーションをとるんですよね。タダの人に対する優しさやユーモア、人との距離感や関係性が自分の中に残るんです。必然的にみんなとコミュニケーションをとろうとしますし、コミュニケーションをとらないと成立しない作品なので、今はみんなで創る『11人いる!』を探していますね。

――懐かしいと感じることもあるんですか?

松本:それもありますね。久しぶりに会ったなぁっていう感慨深さもあります。

タダのセリフがマツシンの声で再生される

拡大関戸博一=岩田えり撮影

――関戸さんも3度目の出演ですね。

関戸:そうなんです。『続・11人いる! 東の地平・西の永遠』にも出ているんですが、すべて違う役なんです。たらい回しにされてる感じなんですけど……(笑)。

松本:それはすごい経験だよ!

関戸:だからいろんな角度からこの作品を見ているんです。今回タダをさせてもらうのですが、台本を読んでいてもタダのセリフがマツシン(松本)の声で再生されるんですよ。ずっと聞いていたセリフなので、覚えやすいんですけどマツシンの声で覚えているという……(笑)。これまではタダを見続けてきた人間なので、まだタダの居住まいがわからない状況です。正統派男性主人公の立ち方を知らないんですよ、僕。正統派ヒロインなら知ってるんだけどな(笑)。タダが持つ懐の深さや人間の大きさをどういう風に表現しようかと思いますし、みんなを引っ張っていくところに対するしっくりこない感覚を今感じています(笑)。でも、新しいことをやるのは楽しいですね。

――3度目だからこうしよう、こうしたいという思いは?

松本:前と変えようとか、今回はこうしようとか、そういうことよりも、みんなで作る空気感を大事にしています。群像劇ですから、みんなで創っている言葉にできない空気感が一番大事だと思うので、それを今は気にかけていますね。このメンバーでどんな作品になるか――こういう役作りをしてるんだとか、こういう解釈をしているんだ、こういう表情をするんだとか、そんな風にいろいろ感じることを大切にしています。キャストが違うのできっと新しい、今回のみんなで創る『11人いる!』になると思います。

今だからできることもあれば無くしてしまったものもある

拡大松本慎也=岩田えり撮影

――フロル役はいかがですか?

松本:やっていて楽しいです! すごくやりたかった役なんです。

――そうだったんですね。それはなぜ?

松本:エーリク(『トーマの心臓』(萩尾望都作品)の登場人物)に通じる部分があるんですよ。感情豊かでたまに核心をつくようなことを言ったり、すごく魅力的なキャラクターです。未分化で妖精感を持っていて、そんな役はなかなかできないじゃないですか。だから、いつかやりたいなあ、でもタダをやってるしなあと思っていたら、今回させていただくことになりました。

――実際、お稽古で演じてみていかがですか?

松本:やっぱり良い役だな、大好きだなあと思いました。自分だったらこうやりたいという思いがたくさんあったので、それを今思う存分できています。

――やはり、自分だったらこう演じるって思われるものなんですね。

松本:思います! きっとみんなも思うんじゃないかな。

――それを今、大いに発揮できているんですね!

松本:(笑)、そうですね……。ハードルを上げると怖いんですけど。でもすごく楽しくやらせてもらっています。

――時が経ってあの役をまた演じたいという思いはあるんでしょうか?

関戸:もう一度やりたい役はありますよ。『少年十字軍』のドミニクはまたやりたいですね。あの時にできなかったことができるかもしれないと思いがちですけど、実際にやってみると、あれ……?ってなるんですよ、大概(笑)。あの時だからこそできたことがありますし、どっちが良いとも言い切れないですね。

松本:どっちもあるよね。今だからできることもあれば、もう無くしてしまったものもある(笑)。

関戸:(笑)確かに。役者にキャパシティがあったとしたら、小さなキャパシティからちょっと溢れているくらいが良いときがあるんです。キャパシティが大きくなっちゃうと、余裕ができてスキができてしまうので、それを埋めるだけの技量を持ってないとダメですし。結局ゼロから創っていくしかないんですよね。前回の記憶を引きずるとあまり良いことがない。あの時にそういう役を創ったことに理由があったはずなんです。後追いするとその理由をすっ飛ばして、形だけを追い求めてしまって心がなくなってしまう。今の年齢の自分だからしっくりくる、その役に至るまでの過程をまた探していかないとダメですね。今回は、いろんな方がされたタダを見ているので、それを取っ払って自分でどう創っていくかを探さないといけないなと思っています。じっくり取り組んで、あまり焦らないでいこうと思います。

◆公演情報◆
音楽劇『11人いる!』
東京:2019年5月18日(土)~6月2日(日)  あうるすぽっと
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:萩尾望都 『11人いる!』((C)萩尾望都/小学館)
脚本・演出:倉田淳
[出演]
曽世海司、船戸慎士、関戸博一、松本慎也、宇佐見輝、若林健吾、千葉健玖、牛島祥太、伊藤清之、鈴木宏明/宮崎卓真(客演)、高尾直裕(客演)/藤原啓児

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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