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評/星組『鎌足−夢のまほろば、大和し美し−』

日本初の元号「大化」を開いた鎌足を熱演! 紅ゆずるが令和の幕開けを飾る

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』公演から、鎌足役の紅ゆずる(中央)=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 星組公演、楽劇『鎌足−夢のまほろば、大和(やまと)し美(うるわ)し−』が、5月5日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで初日を迎えました(5月19日~25日/日本青年館ホール)。大化の改新を成し遂げた稀代の才人、中臣鎌足にスポットを当て、その波乱に満ちた生涯を宝塚らしいアレンジで描いた楽劇(ミュージカル)です。

 鎌足を演じる星組トップスター紅ゆずるさんと相手役の綺咲愛里さんはすでに退団を発表しているので、これがプレさよなら公演となりました。元号が「平成」から「令和」へと新しくなった今、くしくも日本初の元号「大化」が生まれた時代の作品は、ひときわ印象深いものとなったことでしょう。

熱い志を紅に重ねる

拡大『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』公演から、鎌足役の紅ゆずる(左)と与志古役の綺咲愛里=岸隆子(Studio Elenish)撮影
 物語を引っ張るのは、蘇我氏の下で歴史書の編纂を手掛ける船史恵尺(天寿光希)と、鎌足の師でもある学問僧・僧旻(一樹千尋)。2人がストーリーテラー役となって、鎌足の生きざまを振り返りますが、天寿さん演じる船史恵尺がなかなかの曲者です。ひょうひょうとした語り口が無慈悲かつ冷酷で、油断ならぬ表情も味があるのはさすが天寿さん。ベテランの域に入って星組の芝居を支え、その役目もますます重みを増してきました。

――飛鳥時代。僧旻の学塾には、最新の大陸文化と学問を学ぼうと、貴族の子弟たちが集っていた。代々神祇官を務める中臣家の鎌足(紅)も、幼なじみの車持与志古郎女(綺咲)に励まされながら、定められた人生を抜け出したいと必死に学んでいた。そんな鎌足を疎ましく思う学徒たちから責められていたある日、蘇我入鹿(華形ひかる)に助けられる。今の世に憤る鎌足に「ならば世を変えればよい」と言い放つ入鹿。その志に胸を打たれた鎌足は、自らも改新の志を芽生えさせるのだった。

 中臣鎌足(後の藤原鎌足)は蘇我入鹿を倒し、中大兄皇子とともに大化の改新を行った重要人物。宝塚では悪役として登場したり、脇役の色が濃かったのですが、この作品では主人公となって、鎌足が持つ熱い志を情感豊かに描いています。

 紅さんは面長で涼やかな目元に和化粧が映え、飛鳥時代の人物らしいたおやかさにあふれています。若き日の鎌足は未来に嘆き苦しみ、まっすぐであるがゆえに苦悩していますが、ピュアな演技は紅さんの得意とするところでしょうか。けがれのない素直さや、鎌足を元気づける与志古とのほほえましい関係に思わず胸がキュッとなりそう。鎌足の熱い志は、そのまま紅さんの男役としての志にも重なって見えるようでした。

◆公演情報◆
楽劇(ミュージカル)
『鎌足−夢のまほろば、大和し美し−』
2019年5月5日(日)~ 5月13日(月)  梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2019年5月19日(日)~ 5月25日(土)  日本青年館ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出/生田 大和

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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