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優秀なのに自己肯定感が低い女性が多いのはなぜ?

優秀であるほど突き刺さる自己責任論の刃

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

なぜ優秀な女性が婚活セミナーにカモられるのか

 それが最も如実に表れているのが、恋愛・結婚・妊娠・出産における悩みではないでしょうか。本来それらは相手があるものですし、時代背景やタイミング等の様々な要因から影響を受けるため、努力が成果に直結しないことのほうが多いはずです。ところが、優秀な女性ほど「公正世界仮説」を信じ込んでいるために、「努力不足の自分がいけないのだろう」と考えてしまいがちです。

 それゆえ、女性向け婚活指南では、「恋愛・結婚ができないのはあなたに原因がある!」「男ウケの悪い服装やしぐさをしていたらモテなくて当然だ!」という趣旨の圧力をかける婚活アドバイザーが非常に多くいます。中には、半ばマルチ商法に近いような高額なセミナーを実施している女性起業家もいて、そのカモにされている優秀な女性も少なくないのです。

 拙著『恋愛氷河期』はこれの真逆で、就職氷河期に就職がうまくいかなったように、人々の恋愛や結婚がうまくいかなくなったのは環境のせいである面が大きいと説きました。しかし、自己責任論を唱える婚活アドバイザーの教えのほうが、「公正世界仮説」を信じている彼女たちの価値観とピッタリと一致しており、業界を席巻しているのが現状です。

男女平等110位=「環境のせい」ばかりの社会

 ですが、自分に問題の原因を求めたところで、恋愛や結婚の悩みが改善するわけがありません。直さなければならない点はお互いあるはずなのに、婚活アドバイザーの指南通りに自分だけの責任に負わせれば、女性を消費・支配しようとする男性にとって都合の良い存在になるだけです。人と人とが素顔で対等に向き合うパートナーシップからは遠ざかり、恋愛・結婚の悩み解決からますます遠ざかることでしょう。

 結果、無駄な失敗をいくつも積み上げてしまいます。自己責任論というと、昨今は「被害者バッシング」や「生活保護受給者叩き」等、他者を叩く論拠として認識しがちですが、それは矛先が自分に向く可能性のある諸刃の剣です。失敗や壁にぶつかることのほうが多い社会では、公正世界仮説を信じている限り、自己肯定感が高まらないのも当然と言えるでしょう。

 そして、医大入試の女子差別の例に限らず、ジェンダーギャップ指数(2018)世界110位(世界経済フォーラム)の日本では、女性の社会的障壁は、男性よりも圧倒的に多く存在します。政治やビジネスだけでなく、ルッキズム(差別的な外見至上主義)やエイジズム(差別的な若さ至上主義)の圧力が強いのも女性ですし、性的自由が侵害されやすいのも、全て女性です。

 そのような「環境のせい」がたくさんあるはずの女性差別社会で公正世界仮説を信じて「自己責任」に回収してしまえば、「あなたが悪い」という莫大な量の「刃」が自分に降ってくるわけです。女性のほうが男性よりも自己肯定感が低い要因は、ここにも見出すことができると思います。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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