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『紳士は金髪がお好き』拡大『紳士は金髪がお好き』(1953年) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gentlemen_Prefer_Blondes_Movie_Trailer_Screenshot_(17).jpg  

 今回は、ハワード・ホークスの傑作ミュージカル・コメディ、『紳士は金髪がお好き』を取り上げたい。

 興行的にも大成功した1953年公開の本作は、マリリン・モンロー(1926~1962)をスターダムに押し上げた1本でもある(色鮮やかなテクニカラー)。『赤ちゃん教育』や『ヒズ・ガール・フライデー』のような超高速の過激なスクリューボール・コメディではないが、金髪のマリリン・モンローと黒髪のジェーン・ラッセル扮するダンサーが夫狩り(マンハント)に成功するまでを、彼女らの突飛な行動を通して緩急自在に描くこの映画は、やはりスクリューボール・コメディの名にふさわしい傑作喜劇である。

 そして何より、本作の最大の面白さは、マリリン・モンロー演じるローレライが、“玉の輿願望”にとりつかれた女として、滑稽かつ愛らしく造形されている点にある。つまり、金持ちと結婚することこそ人生のゴールだと信じて疑わないローレライの性格設定が、ドラマを荒唐無稽かつリアルにドライヴしていくのだ。

――ローレライ/マリリン・モンローは、彼女に惚れている大富豪の御曹司、エズモンド(トミー・ヌーナン)とパリで結婚式を挙げるため豪華客船に乗りこむが、道中、数々の珍騒動を巻き起こす。まず、エズモンドの父(テイラー・ホームズ)が息子とローレライの結婚に大反対したため、エズモンドは乗船できなくなる。そこで、ローレライは相棒のドロシー/ジェーン・ラッセルと客船でパリに向かう。乗客のなかには、エズモンドの父がローレライの素行を探るべく送りこんだハンサムな私立探偵マローン(エリオット・リード)がいたが、金持ちより“ナイスガイ”が好みのドロシーは、マローンの正体を知らぬまま、彼と意気投合する。

 そんななか、マローンは、ローレライが大金持ちでダイヤモンド鉱山を所有する老人、ビークマン(チャールズ・コバーン)を誘惑しているところを小型カメラで盗撮してしまう。宝石に目がないローレライは、ビークマン夫人の豪華なダイヤのティアラ(頭飾り)に目がくらんだのだが、マローンの正体に気づいたローレライとドロシーが彼を罠にはめて写真を取り戻すも、マローンはこれに屈せず、ローレライがビークマンからティアラを受け取るところを録音していた。

 そして、エズモンドがローレライたちの到着したパリに駆けつけた頃、ローレライに窃盗容疑の逮捕状が出され、肝心のティアラもどこかに消えてしまうが、ドロシーは大胆にも金髪のかつらを被ってローレライになりすまし(!)、裁判に出廷すると毛皮のコートを脱ぎ捨て脚線美を披露して歌い踊り、聴衆を煙に巻き、裁判官らを骨抜きにする(!)。マローンもドロシーの愛の告白を聞くや、エズモンドの父との探偵契約を破棄してティアラの在りかを明らかにしたため、事なきを得る。そして、アメリカへ向かう客船上でのローレライとエズモンド、ドロシーとマローンの合同結婚式の場面で映画は終わる……。

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

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