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美輪明宏の『毛皮のマリー』

美醜入り交じる世界、愛が包む

山口宏子 朝日新聞記者

母と子の愛憎、寺山の世界

 『毛皮のマリー』は1967年、アートシアター新宿文化で初演された。東京・新宿にあったこの劇場は、当時台頭してきた「アングラ演劇」の拠点だった。

 寺山は青森で、美輪は長崎で、ともに1935年に生まれた。67年に「演劇実験室◎天井桟敷」を旗揚げした寺山は、その最初の公演『青森県のせむし男』の主役に、歌手として活躍していた美輪(当時は丸山明宏)を招いた。その直後に書かれたのがこの『毛皮のマリー』だ。

 寺山と彼の実母との関係が色濃く投影されているといわれるこの戯曲で、美輪が主人公の女装の男娼マリーを演じるのは、これで7度目になる。寺山自身が演出した初演、寺山が世を去った直後の83年の再演(鈴木完一郎演出)、94年の公演(ハンス・ペーター・クロス演出)を経て、2001年から、09、16、19年まで、美輪が演出・美術も担い、ワダエミによる衣装デザインで、上演を重ねてきた。

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筆者

山口宏子

山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者

1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学・日本大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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