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「三谷かぶき」ができるまで(上)

歌舞伎座でロシアが舞台の異色作

山口宏子 朝日新聞記者

歌舞伎座の舞台は27メートル超え

三谷かぶき拡大稽古をする松本幸四郎(奥)ら俳優たちと三谷幸喜(左手前)

 『決闘!高田馬場』で三谷は、「パルコ劇場では、歌舞伎らしさを忘れると何だかわからなくなる」と「歌舞伎」を意識したという。それに対し、『月光露針路日本』は「歌舞伎座で、これだけ多くの歌舞伎俳優が出ているので、何をやっても歌舞伎なんだと思える。今回は自由」と感じている。

 一方で、「大きさ」という課題に向き合う。

 458席(当時)の中劇場だったパルコ劇場に対し、歌舞伎座は1800席を超える大劇場だ。舞台も広く、間口27メートル以上。幅広の独特の空間だ。5月初めに始まった稽古も、この舞台の大きさに合わせて、東京都内の映画スタジオを借りて行われた。

 「こんな広い舞台ではやったことがない。初めての挑戦です」と三谷。出演者が多いことも、少人数の作品が多い三谷にとっては「やりがいを感じている、チャレンジです」。

 もう一つのポイントは、場面の多さだ。

 三谷の演劇は、室内など、一つのシチュエーションで展開することが多いが、『月光露針路日本』はその反対。光太夫らは、駿河沖から北へ、アリューシャン列島のアムチトカ島に流れ着き、ロシア本土に渡って、大陸を西へ進み、サンクトペテルブルクにたどり着く、壮大な旅の物語だ。三谷は「僕があまり作ったことがない、ロードムービー(のような作品)なんです。ロシアを転々とする場面の転換をどうするか、工夫をしているところです」と話していた。

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筆者

山口宏子

山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者

1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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