山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者
1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学・日本大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
歌舞伎座にドレスが並ぶ
江戸時代、嵐に遭ってロシアに流れ着いた大黒屋光太夫たちの苦難の歳月を描いた新作歌舞伎『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』が、6月1日、東京・歌舞伎座で開幕する。
三谷幸喜が作・演出し、松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助らが出演するこの舞台の裏側を訪ねる【「三谷かぶき」ができるまで】。前回の舞台美術に続いて、今回は出演者の大半が洋服を着る衣裳(いしょう)に注目しました。未公開のデザイン画もご紹介します。
『月光露針路日本』は、みなもと太郎の漫画『風雲児たち』を原作にしている。
光太夫ら17人を乗せた船は伊勢から江戸に向かう途中で遭難し、8カ月の漂流の末、アリューシャン列島の小島に流れ着く。そこでの暮らしを経て本土に渡った光太夫らは、次々と仲間が死んでゆく中、「くにに帰る」という不屈の信念で広大なロシアの地を横断。サンクトペテルブルクで女帝エカテリーナ二世と対面し、帰国を許される。
10年にわたる物語の舞台は、海の上かロシア。衣裳も普段の歌舞伎とは異なる。そのデザインを前田文子(あやこ)が担当した。