メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「文藝」編集部に訊く。再起動する文芸とは何か

「日本文学って、ほんとうにおもしろいんですよ」

丹野未雪 編集者、ライター

全雑誌がライバル

編集部は3人。左から、竹花進さん、編集長・坂上陽子さん、矢島緑さん拡大編集部は3人。左から、竹花進さん、編集長・坂上陽子さん、矢島緑さん

――さきほど、文芸誌は基本的に「売れない」んだけれども、いい企画・いい原稿を掲載すれば「売れる」とおっしゃいました。しかしながら、企画の質と売り上げが相乗していくのはなかなか難しいことのように思われます。どのような試みを参考にされたのでしょうか。

坂上 リニューアルにさいして、ほかの文芸誌、中間小説誌にも、もちろん影響を受けています。たとえば、「新潮」の2018年1月号は、ノンフィクションを巻頭にもってきている。NHKのドキュメンタリー番組「ヤノマミ」「最後のイゾラド」を手がけたディレクターの国分拓さんが書いた「ノモレ」というノンフィクションです。「文學界」は、又吉直樹さんやSaoriさん、古市憲寿さんなど、それまで小説を書いたことがない、いろいろなジャンルの書き手が寄稿していて、多様な才能を小説に引き込んでいる。ベストセラーの種は常に文芸誌に埋め込まれているんです。個人的には2006年末創刊の「yom yom(ヨムヨム)」(新潮社)が衝撃的だったんですね。カバーには雑誌タイトルと、パンダのキャラクター「Yonda?君」のイラストレーションのみ。本文が1段組で、読み切りというスタイル。しかもすごく売れた。

――「yom yom」は現在、隔月刊の電子書籍となっていますが、創刊号は4万8000部で、発売4日目に1万5000部の重版が決定したという、文芸誌としては異例の売れ行きをみせました。なかなかに巨大な目標ではありませんか。

坂上 「文藝」はさすがに歴史が長い文芸誌ということもあり、様々な制約条件があるなかですし、出版をとりまく状況も悪くはなっているので、そう簡単にはいかないだろうと思っていますが、念頭にはあることは確かです。売りたい!という気持ちは強いです。

矢島 わたしはこれまでずっと文芸書を担当してきて、雑誌編集は初めてなんです。雑誌って、ちょっとロック・フェスみたいなところがある

・・・ログインして読む
(残り:約1349文字/本文:約4208文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

丹野未雪

丹野未雪(たんの・みゆき) 編集者、ライター

1975年、宮城県生まれ。ほとんど非正規雇用で出版業界を転々と渡り歩く。おもに文芸、音楽、社会の分野で、雑誌や書籍の編集、執筆、構成にたずさわる。著書に『あたらしい無職』(タバブックス)、編集した主な書籍に、小林カツ代著『小林カツ代の日常茶飯 食の思想』(河出書房新社)、高橋純子著『仕方ない帝国』(河出書房新社)など。趣味は音楽家のツアーについていくこと。