「リアルと仮想空間のどっちも巻き込んでいきたい」
2019年06月06日
「文芸再起動」を掲げ、およそ20年ぶりに全面リニューアルした季刊文芸誌「文藝」。「紙」からウェブへの移行が主流化するなか、なぜ現在のかたちを選んだのか。前稿に続き、編集部の3人・編集長の坂上陽子さん、竹花進さん、矢島緑さんに訊く。多数の芥川賞受賞作家を輩出している文藝新人賞の本質、隆盛する投稿サイトについても語っていただいた。
――当サイト「論座」も、月刊論壇誌「論座」が2008年に休刊、2年後にウェブメディアとしてスタートしたという経緯があります。ジャンルにかかわらず、ウェブメディアへ移行する雑誌が増加し、一方では小説投稿サイトが隆盛しています。書き手も媒体もウェブ上にあるというなかで、いま、紙の雑誌を出すことはどういう意味を持つのでしょうか。
左から、竹花進さん、編集長の坂上陽子さん、矢島緑さん
――文芸誌は、雑誌に掲載した作品を書籍化するためだけの装置ではない、と。
編集会議はPCを前に雑談するかのようにすすむ。チャットツールにSlackを導入し、気になることを日常的に共有。「たくさんボツになりますけど、提案にはスーパーウエルカムな編集長なので、アイデアが出しやすくて楽しい」と矢島さん
文藝賞贈呈式であいさつする若竹千佐子さん =2017年――巻末にはQRコードがあり、表紙と目次、本文に登場するクイックオバケさんのGIF動画を楽しめるという仕掛けもあります。リアルと仮想空間のどちらも巻き込むという点に関して、デザイン面ではどのようにアートディレクターの佐藤亜沙美さんと共有していかれたんでしょうか。
坂上 「文藝」は80年以上の伝統がある文芸誌ですが、たとえば今「新しい文芸誌をいま創刊する」と仮定したときに、いったい何がおもしろいだろうか、という
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