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戦争という「法/法則」か、戦争以外の「法/法則」か

『イメージの本』拡大『イメージの本』=提供・コムストック・グループ
 「2 ペテルベルク夜話」は、このタイトルそのものが、18~19世紀フランスの<王党派/反革命>の論客であったジョゼフ・ド・メーストルの著作からとられている(カトリック神秘思想の影響を受けたド・メーストルは、神およびその代理人たる教皇と国王の絶対性を主張、革命思想に挑戦し、独自の戦争論を展開した)。事実、このパートでは戦争が主題化され、その断片がコラージュされる映画も、セルゲイ・ボンダルチュク『戦争と平和』(1968)、ジャン=ピエール・メルヴィル『海の沈黙』(1949)、ロベルト・ロッセリーニ『無防備都市』(1945)、フリッツ・ラング『ニーベルンゲン ジークフリート』(1924)、および『怪人マブゼ博士』(1933)、溝口健二『雨月物語』(1953)、アベル・ガンス『ナポレオン』(1927)、ジャン・ルノワール『ゲームの規則』(1939)、ゴダール自身の『アワーミュージック』(2004)……と、戦争映画、ないしは戦争のモチーフを含んだ作品がほとんどである。

 なお<戦争>は、前記『カラビニエ』以来、ゴダールの主要な関心事のひとつだが、ゴダールは

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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