山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者
1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
群像劇の魅力あふれる
船の上のやりとりから、次第に船乗りたちの人柄がみえてくる。
頭(かしら)の光太夫(松本幸四郎)は、実は経験不足で少々頼りない。
庄蔵(市川猿之助)は不満ばかり口にしているが、愚痴の言い方は気が利いていて、この人の怜悧さがよく分かる。
一人髷を落とさなかった新蔵(片岡愛之助)は自分勝手を貫いている。
小市(市川男女蔵)は嵐の時に頭を打って、ぼんやりしたまま。最年長の久右衛門(坂東弥十郎)は好人物だが頑固だ。船親司(ふなおやじ)の三五郎(松本白鸚)は頼りになり、その息子の磯吉(市川染五郎)はまだ幼さが残る。
この先、17人の仲間たちは、栄養不良や寒さなどで次々と命を落とす。
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