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「三谷かぶき」ができるまで(下の二)

それぞれの人物のドラマ、濃密に

山口宏子 朝日新聞記者

 歌舞伎座で上演中の『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』(三谷幸喜作・演出)のレポート、後半です。
 (6月3日と16日の公演をもとに、内容を詳しく記述しています)

故郷はますます遠く

 江戸時代、大黒屋光太夫ら17人を乗せて、伊勢から江戸へ向かっていた「神昌丸」は嵐に遭い、アリューシャン列島のアムチトカ島に漂着した。

 光太夫らは、そこからカムチャッカへ渡り、帰国の許しを得るため、さらにオホーツクへ移動する。だが、たどりついたオホーツクではらちがあかず、より大きな町ヤクーツク、さらに都会のイルクーツクを目指す。

 この間、仲間は次々と命を落とし、生き残ったのは、頭(かしら)の光太夫(松本幸四郎)、庄蔵(市川猿之助)、新蔵(片岡愛之助)、嵐の中で頭にけがした小市(市川男女蔵)、最年長の久右衛門(坂東弥十郎)、一番若い磯吉(市川染五郎)の6人だけだ。

 目指す故郷からどんどん離れて、西へ、西へ。

 広大なロシアの大地で、先の見えない旅が続く。

それぞれの歳月

三谷かぶき拡大大黒屋光太夫を演じる松本幸四郎=©松竹

 17人の群像を細やかに描いた序盤を経て、中盤からは、人物造形と人間関係の密度がぐっと高くなり、展開はより劇的になる。 ・・・ログインして読む
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筆者

山口宏子

山口宏子(やまぐち・ひろこ) 朝日新聞記者

1983年朝日新聞社入社。東京、西部(福岡)、大阪の各本社で、演劇を中心に文化ニュース、批評などを担当。演劇担当の編集委員、文化・メディア担当の論説委員も。武蔵野美術大学非常勤講師。共著に『蜷川幸雄の仕事』(新潮社)。

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