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博多座、明治座…大劇場は日本独自のエンタメ文化

ペリー荻野 時代劇研究家

博多座の一体感とサービス精神

 「令和」という新時代を迎えた今、各劇場はますます「エンタメの本拠地」として、おもしろ企画を連発している。

 その筆頭に挙げたいのが、今年20周年を迎えた「博多座」だ。

 この劇場の特長は、座長公演、歌舞伎、ミュージカル、宝塚まで「なんでもアリ」のバラエティ豊かな演目と「地元愛」である。

博多座の1千万人目の入場者となった夫妻を祝う武田鉄矢さん(右)とコロッケさん(左)=10日、福岡市博多区 201905010日拡大博多座の1000万人目の入場者となった夫妻を祝う武田鉄矢さん(右)とコロッケさん(左)=2019年5月10日
 その地元愛が炸裂したのが、今年5月の「武田鉄矢×コロッケ 特別公演」。令和最初の記念すべき作品が地元のスター武田と熊本出身のコロッケとくれば、盛り上がらないわけがない。

 第一部の芝居は「水戸黄門」。一昨年(2017年)、BS-TBSで武田が6年ぶりに黄門役を演じたときから、私は「絶対、博多座にくる」と思っていたが、第2シリーズの放送開始に合わせた絶妙なタイミングでの上演となった。

 水戸光圀(武田鉄矢)一行の世直し旅は福岡藩へ。芸人一座の余一(コロッケ)ら3人が老公一行になりすまし、騒動が起こる。「水戸黄門」といえば、「この紋所が目に入らぬか」の印籠シーンが「待ってました」の名場面だが、ここでは、偽物黄門コロッケによる「人という字は……」という武田のモノマネも「待ってました」で大喝采。

 続いて第二部の「武田鉄矢×コロッケ×海援隊のスペシャル オン・ステージ」でもコロッケが観客に語りかけながら、「ロボット五木ひろし」など得意のモノマネで走り回れば、武田は博多弁MCで観客を沸かせる。観客は拍手、爆笑で忙しい。私の後ろの席の人は、「笑い過ぎて涙が出た~」とハンカチで汗をふいていた。観客と演者の呼吸がぴたりとあう。こういう一体感は、商業演劇最大の楽しみだ。

 博多座は地元ならではのオリジナル作品作りに力を入れる。7年前、武田鉄矢と浅野温子という懐かしい顔合わせで、1991年に大ヒットしたドラマ「101回目のプロポーズ 時代劇版」という驚くべき演目を上演した際にも、他地域の人たちから「若いキャストに代えてではなく、武田、浅野で!?」とか「どうやって時代劇に。武田が道路に飛び出して『僕は死にましぇーん!』と叫ぶドラマの名シーンはどうするんだ」などといろいろ言われながらも、堂々と舞台作品にしてのけた。私もすぐさま博多座に出向いたが、ドラマの主題歌「SAY YES」が鳴り響く(時代劇なのに)中、「これが博多座の一体感」と驚嘆したものである。

 博多座のサービス精神が現れているのは、演目だけではない。

 館内には広いお土産売り場があり、定番の饅頭や弁当、健康茶、地元で人気のパンなどを売っているのだが、「いかがですか」という呼び込みがすごい。私も「マツコの知らない世界」で紹介されたというきんつばを買ってしまった。庶民的で人懐こい雰囲気の劇場なのだ。

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筆者

ペリー荻野

ペリー荻野(ぺりー・おぎの) 時代劇研究家

1962年、愛知県生まれ。大学在学中よりラジオパーソナリティを務め、コラムを書き始める。時代劇主題歌オムニバスCD「ちょんまげ天国」のプロデュースや、「チョンマゲ愛好女子部」を立ち上げるなど時代劇関連の企画も手がける。著書に『バトル式歴史偉人伝』(新潮社)など多数。『時代劇を見れば、日本史はかなり理解できる(仮)』(共著、徳間書店)が刊行予定

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