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私らしく笑って「じゃあね~!」/紅ゆずる

【宝塚~朗らかに~】男役18年 明るく去りたい

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・7月11日紙面(東京本社発行版)より】

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 星組トップ紅(くれない)ゆずると、相手娘役綺咲愛里(きさき・あいり)の退団公演「GOD OF STARS-食聖-」「エクレール・ブリアン」は、12日に兵庫・宝塚大劇場で開幕(8月19日まで)する。大阪出身トップは「わいわいガヤガヤ終わりたい」。芝居はコメディー、ショーは王道レビューで、男役18年を締める。東京宝塚劇場は9月6日~10月13日。

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 ついに最後の公演。明るいサヨナラを希望した。

 「わいわいガヤガヤと終わりたいと言った。(芝居の)最後は『じゃあね~』みたいな感じで。背中を向けて去るより、にぎやかに終わった方が私らしい」

 ファン時代、退団公演を見て感じた思いからだ。

 「もう『この世の終わり』。ショーまでの休憩『どないしてくれる』みたいな(笑い)。次(のショー)明るく始まられても『どうしたらええねん、この気持ちは』ってなる。芝居の最後は『楽しかったね~』って休憩を過ごしてほしい」

 大阪で生まれ育ち、笑いの効果を知る。島田洋七の「佐賀のがばいばあちゃん」から人生訓も得た。

 「とりあえず、笑っとけば明るい気持ちになる。(がばい-で)悲しいことは夜に考えると、とても悲しくなるけど、朝考えるとそうでもないから『いやなことは朝考えなさい』って」

 実は繊細な紅らしい危機回避術。その紅が臨む最後の役は、アジアを舞台にした天才料理人だ。実は魔界の“わがまま王子”で、暴れん坊設定の喜劇。演出の小柳奈穂子氏も「すごいはまり役」と太鼓判を押す。

 「人間界に落ちてもすごい自信過剰。料理を教えられ腕は上がるけど、コンテストでも『今日は、やめ』とか言ったり。これがはまり役ってどう? って思う性格の悪さ。ここにきて、私、え? そんなんなん? って(笑い)」

 卓越した求心力で、周囲を笑いに巻き込んでいくさまは、紅そのもの。劇中には、紅がこれまで演じてきた役、場面をほうふつとさせるシーンも多いという。

 「あの作品と似ているな-という場面を作っていただき、ちょっとずつ」。男役18年を凝縮した作品だ。ショーはベテラン酒井澄夫氏の作。華やかな王道レビューで「それはもう、夢々しい」。トップ2年半が過ぎ、最下級生まで「個性」を押し出すように求めてきた“紅・星組”のエネルギーが存分に放出されそう。

 あるとき、落ち込んでいる下級生に「どうすれば気持ちを前に出せるのか」相談された。「とりあえず今日は『何があった?』ってぐらいに、笑ってみよか」とアドバイスしたという。

 相手役の綺咲とは学年差8年。積極的に声をかけ綺咲の心をほぐしてきた。次期コンビは礼真琴、花組から異動の舞空瞳に決まった。「周りに相談して『助けて』と言えば、みんなが手伝ってくれる」。首席入団で、11年目早期就任になる礼に、こう言葉を送った。

 「あきらめが悪くてよかった。だから(トップで退団)だと思います」。宝塚音楽学校時代、成績は下位。それでも「宝塚愛」だけは貫き、頂へたどり着いた。「今は、宝塚のことだけを考えていたい。(退団後は)きっと何か降ってくるでしょう。何か分かんないですけど(笑い)」。全身全霊をささげ、愛する世界を去る。

◆ミュージカル・フルコース「GOD OF STARS-食聖-」(作・演出=小柳奈穂子) 上海の料理チェーン「大金星グループ」の総帥ホン(紅ゆずる)は、高慢ながら、天才料理人として世界に名を知られる。ところがある日、弟子リー(礼真琴)に裏切られ、築いた地位、名声も失い、シンガポールの下町へ流れつく。そこで、行方不明の父に代わり、食堂を運営するアイリーン(綺咲愛里)らに助けられる。

◆スペース・レビュー・ファンタジア「エクレール・ブリアン」(作・演出=酒井澄夫) 宇宙から地球に舞い降りた青年が世界を舞台に歌い踊る姿を描く。

☆紅(くれない)ゆずる 8月17日、大阪市生まれ。02年入団。星組一筋。16年11月に同組トップ。17年1月、インド映画をもとにした「オーム・シャンティ・オーム」でトップ初主演。「スカーレット・ピンパーネル」で本拠地お披露目。昨年は落語題材の異色作、台湾公演に主演。今年は「霧深きエルベのほとり」で、荒くれの船乗りを好演。身長173センチ。愛称「さゆみ」「さゆちゃん」「ゆずるん」「べに子」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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