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キリスト教界誌『福音と世界』編集部に聞く本道

アナキズム、沖縄、労働……この雑誌だからやれるマイナーなことをやる

丹野未雪 編集者、ライター

やりたい企画は押しの強さで通る

2018年に実施したトークセッションを書籍化した、『統べるもの/叛くもの――統治とキリスト教の異同をめぐって』。雑誌と書籍、イベントを有機的に結びつけることを継続していきたいという拡大2018年に実施したトークセッションを書籍化した、『統べるもの/叛くもの――統治とキリスト教の異同をめぐって』。雑誌と書籍、イベントを有機的に結びつけることを継続していきたいという
——キリスト教の「内」だけでなく、「外」へもはたらきかけたのではと思います。読者からはどういう反応がありましたか。

堀 20〜30代の読者からは内容がものすごくよくなったという声を聞きます。僕は営業にも行くんですが、今年になって認知度が格段に上がったと感じていて。いままでは、都内の一般書店に行っても、こういう会社でこういう雑誌でと、自己紹介からはじめなければならなかったのが、雑誌名をすでにご存じのうえに、「ぜひ扱いたい」といってくれる。インディペンデント系の書店どうしで読書会をやっていて、そこで読んだという書店員さんもいました。執筆依頼をしたときに、注目していたと返信をいただくこともたびたびあって、僕の与り知らぬところでキャッチ・アップしてくれていると思うと、本当にうれしいですね。

——企画のおもしろさによって、あらたな読者を引き込んでいると。こうした方向性に舵を切った理由はなんでしょうか?

堀 僕は2016年12月に入社したんですが、そのころは宗教改革500年記念にあたり、連続特集が組まれていました。契機になったのは、2017年9月号の沖縄特集かなと思います。沖縄のヒップホップについて、カリブ/ディアスポラ研究者の浜邦彦さんに執筆してもらったんですが、「記事のトーンが変わったね」と、まず社内で好意的な反応があって。それから、特集「かざることの神学」(2017年10月号)でタトゥーについて取材したり、「ポピュリズム・デモクラシー・キリスト教」(2017年12月号)で社会思想史家の酒井隆史さんに寄稿してもらったりしたところ、社内外で評判がよかった。

 それで、どうやらこれまで自分が学生のころからやってきた社会学・人文学をキリスト教とすり合わせることが可能だし、かつ、自己批判しつつそれをさらに乗り越えていく強力な武器になるんじゃないかと思ったんです。近刊の特集「現代のバベルの塔――反オリンピック・反万博」(2019年8月号)でも、旧約聖書のバベルの塔の物語に根ざしつつ、反オリンピック・反万博にむけて神学・人文科学・社会科学・アクティビズムの知を総結集させています。8月2日には関連したトークイベントを新宿のカフェ★ラバンデリアで開催予定です。

ヒップホップ好きの堀真悟さん。よく聴くCDをデスクに積んでいる。現在、牧師である山下壮起氏による『ヒップホップ・レザレクション――ラップ・ミュージックとキリスト教』(7月刊行予定)を編集中拡大ヒップホップ好きの堀真悟さん。よく聴くCDをデスクに積んでいる。現在、牧師である山下壮起氏による『ヒップホップ・レザレクション――ラップ・ミュージックとキリスト教』(7月刊行予定)を編集中
——編集部には編集長がいないと聞きました。企画内容についてどのように話し合い、決定しているのでしょうか。

堀 部員は社長の小林、立教大学の大学院生でもある工藤、そして僕の3名です。月に一度、企画会議をやっていますが、

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筆者

丹野未雪

丹野未雪(たんの・みゆき) 編集者、ライター

1975年、宮城県生まれ。ほとんど非正規雇用で出版業界を転々と渡り歩く。おもに文芸、音楽、社会の分野で、雑誌や書籍の編集、執筆、構成にたずさわる。著書に『あたらしい無職』(タバブックス)、編集した主な書籍に、小林カツ代著『小林カツ代の日常茶飯 食の思想』(河出書房新社)、高橋純子著『仕方ない帝国』(河出書房新社)など。趣味は音楽家のツアーについていくこと。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです