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浦井健治、7年ぶりの日本公演で新ヘドウィグに

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』取材会レポート

真名子陽子 ライター、エディター


拡大浦井健治=岸隆子撮影
 
 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』日本公演が7年ぶりに上演されます(8月~9月、東京・福岡・名古屋・大阪にて)。1997年にオフ・ブロードウェイで初めて上演されロングランを記録し、その後世界各地で上演。2001年には映画化もされています。日本では2004年に初めて上演され、6度目の再演となります。初めてヘドウィグ役に挑む浦井健治の取材会が行われ、作品の魅力や役について、共演者のアヴちゃん(女王蜂)や演出の福井桜子さんのことなどを語っていただきました。

作品との向き合い方を突き詰めたい

記者:出演が決まった時の感想を聞かせてください。

浦井:資料映像を観た時は正直怖いと思いました。ほぼ一人芝居という中で膨大なセリフと向き合うことやZeppといったライブ会場でミュージカルをやるということなど、自分に課せられた課題があるなと。ただ、共演者に女王蜂のアヴちゃんがいてくださる。とてもカリスマ的で日本のヘドウィグと言われている方です。ビジュアル撮影の時にお話をさせていただいたのですが、お手本になる方が現場にいてくれることが、“鬼に金棒”じゃなく“鬼にチェーンソー”だとすごく安心しました(笑)。以前アヴちゃんがボーカルをしている女王蜂のライブを見にいかせていただいたのですが、その世界観と歌詞の内容の痛々しさやすべてをさらけ出している魂の叫びとパフォーマンス、そして歌声に打ちのめされました。オーディエンスの方たちが拳を突き上げながら泣いている姿を見て、女王蜂が目指しているものとヘドウィグの世界観がリンクしましたし、人間とは? 自分とは? といった自分探しや、そう“思うこと”への怒りなどを女王蜂から学べればと思いました。この作品と出会えてアヴちゃんと共演できることに改めて幸せを感じています。そして稽古まで時間がありますので、この作品との向き合い方をしっかりと突き詰めていきながら、演出の福山桜子さんとともに4人めのヘドウィグとして、日本の『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を創っていきたいと思っています。

記者:この作品の魅力はどういうところにあると思いますか?

浦井:熱狂的なファンが多い作品であり、ヘドウィグに自分を投影する人、もしくはそこから生きていくバイブルとして何かを学んだ方が多いのかなと思います。それが自分にとってはとてもハードルが高いのですが、ファンの方々に認めてもらうというよりも、ちゃんと自分がヘドウィグとして成立させて、コアなファンの方々にも楽しんでいただけるように取り組みたいと思っています。今回、劇団☆新感線の舞台でお世話になって親しくさせてもらっています冠徹弥さんがボーカル指導をしてくださるのがとても心強いですし、アヴちゃんが横にいてバンドには憧れの黒夢のサポートメンバーもされる方がいらっしゃるので、奇跡のようなチームになるんじゃないかなと思っています。

記者:ビジュアル撮影をしたときの感想をお願いいたします。

浦井:皆さん、綺麗とかいろいろ言ってくださるんですけども、メイクをして化けるということを武器にして世間と対峙しているということがすごく浮彫りにされているからこそ、このヘアメイクに込められるメッセージを感じていただければ。いつもはアヴちゃんがこのようなメイクをしているんですが、作品の中ではイツァーク役としてヘドウィグにメイクをするので、すごく意味があるツーショットになっているんじゃないかなと思います。

◆公演情報◆
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
東京:2019年8月31日(土)~9月8日(日) EXTHEATERROPPONGI
福岡:2019年9月11日(水)~9月12日(木) Zepp Fukuoka
名古屋:2019年9月14日(土)~9月16日(月・祝) Zepp Nagoya
大阪:2019年9月20日(金)~9月23日(月) Zepp Osaka
東京FINAL:2019年9月26日(木)~9月29日(日) Zepp Tokyo
公式ホームページ
[スタッフ]
作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
翻訳・演出:福山桜子
歌詞:及川眠子
音楽監督:大塚茜
[出演]
浦井健治、アヴちゃん(女王蜂) ほか

今の日本でやることの意味を考えたい

拡大浦井健治=岸隆子撮影

記者:役柄と共通するところはありますか?

浦井:弱さ、人間の儚さ、愛ゆえの……そういったものがこの人物を通して描かれていると思います。強がっていたり立ち向かっていたり、自分を肯定するためのいろんな武器を探して見つけて、そして傷つき……そんな人生だと思うんですけれども、その中で、愛らしい脆さや弱さが男として共感しやすいのではないかと思います。一人じゃ生きていけない、一人じゃないんだよと、最後に歌う「Midnight Radio」の歌詞にあるんですが、みんなで生きていこうよという願いや希望に共感したいと思います。

記者:本番までに準備しておこうと思っていることはありますか?

浦井:演出の桜子さんがセリフの一言一言に嘘をつかず発することが出来るように演出をしていきたいとおっしゃっていたので、まずはベルリンの壁崩壊といった当時の時代背景をしっかりと勉強したいと思います。そして、ある国では同性愛の結婚が認められたり、以前はタブーだったことが今は普通になってきているという今、この日本でやることの意味を考え、タブーではなくなったそれをどう表現するか? 「今は普通じゃん! それで?」って言われないように伝えることが大事になってくると思いますね。

記者:これまで個性的な役者さんが演じてこられましたが、浦井さんが演じるにあたってどんな人物にしたいと思っていますか?

浦井:やはり役者が変われば変わりますので、諸先輩方のヘドウィグを見習いながら、ある意味オーソドックスにブロードウェイで上演した形を目指して、演出の桜子さんの指示のもと丁寧に作っていきたいです。

記者:丁寧に作れば個性的なものが出来上がってくる?

浦井:自分が演出するわけではないので、「こうでしょう」ではなく、「こうしてみたら」を引っ張り出してもらえるようなオールマインドな気持ちで桜子さんに委ねつつ、目の前でエネルギーを発しまくるであろうアヴちゃんに誘導されながら、ヘドウィグという人物と向き合いたいと思っています。

知らない世界へ飛び込んだ自分はロックだった

拡大浦井健治=岸隆子撮影

記者:福山桜子さんにはどんな印象を持っていますか?

浦井:とてもクリエイティブで頭の回転が速くて品があって、でも人にちゃんと向き合う……寄り添うではなく向き合って意見交換をする方、ですね。やはりニューヨークに長くいらっしゃった方なので、ちゃんと自分の個性を信じている方と言うイメージでした。

記者:自分の中のロックな部分とは?

浦井:声楽を習った事はないですし、『エリザベート』に出演するまでミュージカルは『アニー』しか観たことはなかったのですが、興味を持って大好きになって全く知らない世界へ飛び込んでみようと思った自分は、ある意味ロックだったんじゃないかなと思います。そこで今こうしてやらせてもらえている巡りあわせが、僕の人生としてはロックなんじゃないかなと思います。

記者:最後にメッセージお願いします。

浦井:女王蜂のアヴちゃんと演出の桜子さんとともに、しっかりとこの作品の持つ大きな大きな愛や悲しみ、残酷だけれども人生の豊かさ、人間はこんなに色とりどりな色が出せるんだよということを、希望という形でお届けできるような作品を創っていきたいと思います。歌も自分にとっては挑戦ですので、冠さんの指導のもとしっかりと向き合っていきたいと思います。是非、皆さまのお越しをお待ちしております。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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