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評/星組『GOD OF STARS-食聖-』

次代へのバトンタッチも心憎く、紅ゆずるが魅力全開&笑顔満開でラストステージを飾る

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『GOD OF STARS-食聖-』公演から、ホン・シンシン役の紅ゆずる=岸隆子 撮影
 
 星組公演ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』、スペース・レビュー・ファンタジア『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』が、7月12日に宝塚大劇場で初日を迎えました。

 トップスター紅ゆずるさんとトップ娘役の綺咲愛里さんが、この公演で退団となります。演出の小柳奈穂子先生いわく“お腹の底から本気で笑うことができるトップスター”。そんな紅さんの魅力をたっぷり詰め込んだ作品は、一度はすべてを失った三ツ星天才料理人ホン・シンシンが、屋台街の娘アイリーンと出会い、料理の聖人“食聖”へと復活するアジアン・クッキング・コメディ。もちろん笑いがたっぷりで期待を裏切りません。

 ヒャダインさんが音楽を、ダンスパフォーマンス集団の梅棒が振り付けを担当し、次期トップスター礼真琴さんへの熱いバトンタッチシーンなど見どころも満載ですが、涙のお別れは一切なし! 紅さんらしいにぎやかなラストステージとなりました。(以下、ネタバレがあります)

笑いに徹する紅のプロ魂

拡大『GOD OF STARS-食聖-』公演から、ホン・シンシン役の紅ゆずる=岸隆子 撮影

 紅さんと言えば、“アメリカンドリームなタカラジェンヌ”かもしれません。2002年に初舞台を踏んだ紅さんは、元宙組トップスター朝夏まなとさんもいた88期生。成績は下位で、研7まではセリフもありませんでしたが、最後の新人公演『THE SCARLET PIMPERNEL』で主役のパーシーを演じ、一躍スターダムへ。歌やダンスが傑出していなくても、その圧倒的なきらめきは衝撃的で、“伝説の新公”と語り継がれるほどでした。これを機にスターへの階段を着実に上り、2017年に思い出の『THE SCARLET PIMPERNEL』でトップお披露目。明るいキャラクターと卓越したコメディセンスで星組を力強く牽引してきました。

 そんな紅さんの魅力を余すところなく詰め込んだ今回の芝居とショーは、まさに集大成と言えるでしょう。

――シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズでは、世界一の料理人を選ぶ食聖コンテストが開催されていた。最も注目を浴びる大金星グループの三ツ星天才料理人ホン・シンシン(紅)が、食のテーマパーク建設を豪語していたまさにその時、パーク建設予定地パラダイス・マーケットに住むアイリーン(綺咲)が飛び込んできた。アイリーンの激しい抗議に気分を害したホンは、コンテストを延期させ出て行ってしまう。傲慢なホンに手を焼く大金星グループのCEOエリック(華形ひかる)は彼を解雇し、弟子のリー・ロンロン(=リー・ドラゴン/礼真琴)を新たなシェフに迎え入れることを決めた。

 紅さん演じるホンは自信家で、恩人のエリックにすら横柄な態度をとる嫌~な男。しかしどん底に落ち、アイリーンたちと出会ったことで、素顔の自分がのぞき始めます。自慢の腕も張りぼてだったことがどんどんバレていくのですが、なぜか憎めなくて、知るほどに愛おしくなる愛嬌たっぷりなキャラクターは、紅さんの真骨頂でしょうか。アイリーン役の綺咲さんと息の合ったやりとりも心地よく、とことん笑いに徹する姿にプロ魂を感じずにはいられません。

◆公演情報◆
ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』
スペース・レビュー・ファンタジア『Éclair Brillant』
2019年7月12日(金)~8月19日(月) 宝塚大劇場
2019年9月6日(金)~10月13日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
『GOD OF STARS-食聖-』
作・演出:小柳奈穂子
『Éclair Brillant』
作・演出:酒井澄夫

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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