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「選挙に行かないから若者は損をする」は嘘だった

若者の「リベラルな政府」への失望はあまりに大きい

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

若者ほど強烈な公務員への失望

 そして、身近な点でも、公的な仕組みに失望する機会があります。その一つが、教師や学校です。日本の教育は前例主義や形式主義、「みんな一緒」の横並びの教育、非効率な授業や教育的意義の欠落した生徒管理等がいまだに蔓延しています。

 そのような「保守的な教育」ゆえに、教師や学校に対して尊敬の念を抱くことができず、効率性を重視する民間企業よりもどこか「下」に見てしまう見方が、子供の頃から芽生えてしまうのではないでしょうか。

 そこに、硬直的な公務員制度が拍車をかけます。もし、アメリカのように公務員と民間企業の間を人材が行き交うのであれば多少違うのでしょうが、そのような事例は日本ではごく稀です。霞が関でも、省庁を跨(また)ぐ異動はまだまだのようです。それにより、組織がガラパゴス化し、セクショナリズムが強くなる傾向が強く、外部から見ると「常識がない」と映る機会が増えるのも当然でしょう。官僚の不祥事もいまだに絶えません。

 「お役所は前例主義や形式主義によって既得権益を守るのがメインの仕事で、私が困った時には支援をしてくれない!」という認識ですから、「公務員は削減して小さな政府へ」という主張に若者が賛同するのも不思議ではありません。

 それに比例するかのように、東大生の国家公務員志望者が減っています。若い世代ほど大きな政府によって受ける不利益が拡大するので、公的なものに対する期待や信頼感は、世代が下がるほど低下するという図式は至極当然のように思います。

若者の労働組合離れは利害対立が原因

労働組合は拡大労働組合は若者たちの声に応えてきたのか

 この「若者の大きな政府への失望」と類似のことが、企業の中でも起こっています。それが、若者の労働組合離れです。かつての労働組合は非正規労働者を保護の対象とせず、むしろ自分たちの給与水準を守るために非正規労働者を生み出すことに同意した側面もあります。その点、当時の若者(主にロスジェネ世代)から失望されたのは有名な話ですが、問題はそれだけではありません。

 近年の若者は頻繁な転職やフリーランス化も当たり前になっており、一つの会社で定年まで働き続けることを想定した横並びの賃金体系や年功序列、ベアや定昇をスタンダードに据えた労使交渉という旧来の方針は、もはや若者の利益を代弁するものではなくなっています。

 また、近頃の若者の多くはワークライフバランスを求めているのに、「男性が長時間働き、女性は主婦かパート」という世帯が大半を占める上の世代の人々が残業代の減少を嫌がるため、多くの労働組合はブラック労働を積極的に是正しようとはしてこなかったと思います。こうなると、完全に利害が対立します。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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