メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

ミュージカル『ファントム』制作発表会見レポート

ファントム役の城田優が演出も担い、新演出版の『ファントム』が誕生

真名子陽子 ライター、エディター


拡大左から、木村達成、木下晴香、城田優、加藤和樹、愛希れいか、廣瀬友祐=冨田実布 撮影

 11月~12月に東京と大阪で上演されるミュージカル『ファントム』の制作発表会見が行われました。ファントム/エリック役の加藤和樹さんと城田優さん、クリスティーヌ・ダーエ役の愛希れいかさんと木下晴香さん、フィリップ・シャンドン伯爵役の廣瀬友祐さんと木村達成さん(すべてWキャスト)の6名が登壇しました。今回、ファントム役を演じる城田さんが演出も担うというミュージカル『ファントム』史上初の試みもあり、新演出版の『ファントム』が誕生することで注目されています。

 ミュージカル『ファントム』は、フランスの小説家ガストン・ルルーにより発表され、1911年にベストセラーになった小説「オペラ座の怪人」を原作とし、怪人ファントムの人間像に焦点をあてたストーリーと独創的な楽曲で観客を魅了、世界中で親しまれている作品です。

 仮面を被り、オペラ座の地下で生きていかなければならない運命を背負い、自らを〝オペラ座の怪人〟と名乗る主人公ファントムことエリック。自分が住む精神世界が純粋無垢な美しい世界だと信じていたファントムが、父親との関係性を軸に、クリスティーヌへの愛を知ることで「亡霊ファントム」から「人間ファントム」を取り戻す〝再生〟のストーリー。

 会見はまず、劇中歌の「You are music」を加藤さんと愛希さんが歌い始め、続いて城田さんと木下さんが声を合わせて披露。その後、6名が登壇して意気込みを語り、記者との質疑応答へと続きました。その様子をご紹介します(抜粋)。

今までで一番良い加藤和樹を

拡大左から、木下晴香、城田優、加藤和樹、愛希れいか=冨田実布 撮影
 
――まずは意気込みを聞かせてください。

城田:率直に楽しみしかないです。プレッシャーや責任感もありますが、出演者や何度も打ち合わせを重ね支えてくださっているスタッフの方々にサポートをしていただき、思い入れのあるこの『ファントム』という作品を、より素晴らしい作品になるよう初日に向けて精一杯取り組んでいきたいです。

加藤:城田優のもとでこの作品に携わるということは、僕にとってとても大きな意味を持つと思っています。初舞台の時に彼と一緒でそれから共演もしています。僕だけでなく他の役者さんたちに対しても、彼独自の見え方で演出をしてくれると思います。そして、今までで一番良い加藤和樹だと言われるようにすると言ってくれました。みんなでああでもないこうでもないと言いながら、演出家・城田優と向かい合って最後までついていきたいです。

愛希:ミュージカル『ファントム』、そしてクリスティーヌ役にずっと憧れていました。演出してくださいます城田優さんをはじめ、素敵なキャストの皆さまとご一緒できることを幸せに思っています。ダブルキャストの木下晴香さんと一緒に精一杯務めたいと思います。

木下:作品に対して熱い思いを持つ演出家・城田さんのもとで、この作品に携われることをとても光栄に思います。私の新しい一面を皆さんにお届けできるようがんばります。

廣瀬:城田優演出版のミュージカル『ファントム』に出演できることを光栄に思いますし、とても楽しみにしていました。この作品がこれまでにない、新しくより魅力的な作品になるように、1ピースとして励んでいきたいです。

木村:この座組の一員として選んでいただいたことをうれしく思います。城田優さんが演出をされます。僕からしたら自分の役を演じるだけで精一杯なのに、演じながら演出されるという、こんなに勉強させていただける座組はあまりないと思います。いろんなことを吸収しながら、この作品の一員として素晴らしい作品になるようがんばります。

“音楽で心を歌う”、それが第一のテーマ

拡大加藤和樹(右)と城田優=冨田実布 撮影
 
――具体的にどのような演出プランを描かれていますでしょうか?

城田:具体的な演出プランはサプライズとして取っておきますね。演出家の意見として、ミュージカルを作る上で一番大事なのは〝お芝居の歌〟ということ。歌を歌いあげるミュージカルを作りたいわけではなく、心情を訴えかけるミュージカルを作りたいんです。ですから今回は、この『ファントム』という素晴らしいミュージカルをいかに皆さんの心に届けられるかを大事にしたいと思っています。出演者の皆さまには、歌の感情についてここまで言われたことがないというくらい注文があるかもしれません。〝音楽で心を歌う〟、それが僕の第一のテーマです。他にも城田優ならではの演出を考えています。誰も思いつかないような素晴らしい才能を持っているとは思っていませんので、自分なりに一生懸命考え、また、一生懸命考えないことで浮かび上がったアイデアをどれだけおもしろく具現化できるか……まさに今スタッフの皆さんと一緒に詰めている作業をしていますが、すべてを一人でやるというより、キャストやスタッフのみなさんと一緒に寄り添いながら作っていきたいと思います。

――加藤さん、その思いを聞いていかがでしょうか?

加藤:こういう演出をしたいんだという話はすでに聞いています。今話したこともとても共感しますし、今まで経験したことのない現場になるのではないかという期待をしています。

――思い入れがあると言ってましたが、具体的に教えて下さい。

城田:アーサー・コピット&モーリー・イェストン版の素晴らしさは、やはり家族愛です。エリックと言う名前がついている人間の人生、そして、なぜ怪人ファントムが誕生したのか、彼がどうしてそうならなければいけなかったのか、そこに非常に心打たれます。そしてモーリー・イェストンの音楽はとても丁寧に且ついろんな切り口で作られていますし、曲によって全く違う世界へ連れていってくれるところがすごく好きです。ただ派手なだけではなく、言葉にするのが難しい細やかな感情をしっかりと描いているという印象を持っています。

クリスティーヌの魅力は? 母性(愛希)、無邪気さ(木下)

拡大愛希れい(左)と廣瀬友祐=冨田実布 撮影
 
――役柄についての印象をお願いします。

城田:ファントムは人間なんですよね。怪人と呼ばれて幻想的なイメージを持たれているファントムにはちゃんと心があります。その中で今回僕が演じたいのはエリックの狂気性です。ただ可哀想な人ではなく、無知が故の残酷さをより描くことで人間の複雑な心模様が見えてくるのではないかと思います。今回はそこを掘り下げたいです。

加藤:ファントムは音楽と共にいますので、やはりお客さまに届く歌を歌うということ。そして、ファントムの人との関わり合い方に演じがいがあるのではないかと今の時点では思っています。なぜそうなってしまったのか、その部分を彼と共に追求していきたいです。

愛希:クリスティーヌはまっすぐにものを見て少女のように純粋ですけれども、その中にエリックが感じるお母さんを思わせる母性があり、それが彼女の魅力だと思います。そのバランスがすごく難しいんですけれどもやりがいがあると思いますので、しっかりとお稽古していこうと思っています。

木下:クリスティーヌが歌う歌は難しい曲が多く、どこまでお客さまに届けることができるか……チャレンジなんですけれども、挑戦することにワクワクしています。彼女は無邪気すぎたというセリフがとても印象に残っていて、シャンドン伯爵やエリックに対しての複雑な思いを成り立たせるために必要な無邪気さなのかなと感じています。そこを大切にしていきたいなと思います。

廣瀬:伯爵なので、歩き方に気をつけようかなと(笑)。プレイボーイでもあるシャンドンがクリスティーヌに惹かれていく純粋さが魅力なんじゃないかなと思っています。

木村:ファントムの恋敵の役ですので、このスラっとしたお二人の魅力に負けないように、しっかりとした魅力を舞台上で出していければいいなと思っています。

お互いの印象? 誰からも愛される人間力、熱いハートを持った方

拡大木下晴香(右)と木村達成=冨田実布 撮影
 
――ダブルキャストの相手の魅力は?

城田:ひたすらまっすぐで不器用なところが魅力だと思います。不器用が故にまっすぐ役柄や作品を探求していく姿には感心させられます。演じるエリックはとても不器用ですので、今回はそこが彼の武器になると思いますし、僕はどちらかというと器用なほうなので、まったく違うエリックができるのではないかと思っています。彼の不器用さとエリックの不器用さを重ねたうえで、十数年ミュージカルをやってきている経験値と才能を信じ、加藤和樹にしかできないエリックをぜひ演じていただきたいです。

加藤:最大の魅力は負けず嫌いなところです。そして、その負けず嫌いを隠さないところもすごく魅力的だなと思います。なんとしてもやってやるぞという負けん気が、彼のエネルギー源だと思いますし、彼にできないことはないんじゃないかと思わせてくれます。でも、虚勢を張るのではなくちゃんと弱い部分も見せてくれます。人が好きなんでしょうね。人を愛するところも魅力で、だから惹かれますし信頼してついていこうと思います。

愛希:歌っている姿を拝見して、音楽や歌に対する愛情や情熱をすごく感じます。普段は可愛らしいのに、歌っている時の目の強さはとても魅力的です。

木下:お姉さんなんですけれどとてもチャーミングというのが第一印象でした。真剣に楽譜と向き合われている姿を見て、この努力があって今の素晴らしい姿があるんだなと感じますし、存在感や舞台で放つ輝きを学ばせていただきたいなと思っています。

廣瀬:明るくて愛嬌があって誰からも愛される人間力、それがすごく僕は羨ましいですし魅力だと思います。

木村:淡々とおもしろいことができるのでお笑いの師匠と思っています(笑)。舞台上ではリアルなお芝居を求め、俺の心をちゃんと動かしてくれよという表現をしてくれる熱いハートを持った方です。

――最後に城田さんからメッセージをお願いします。

城田:今、頭の中にあるものを一つひとつ具現化しています。スタッフ、キャストと心ひとつに最高のミュージカルを作ります。こんな『ファントム』は観たことがないと言ってもらえるよう、これまでにやったことがないことをたくさん散りばめられたらなと思っています。ぜひご期待下さい。作品を通して愛やポジティブなメッセージをしっかりと届けられるように、スタッフとキャスト一同がんばりますので、よろしくお願いいたします。

◆公演情報◆
ミュージカル『ファントム』
東京:2019年11月9日(土)~12月1日(日) TBS赤坂ACTシアター
大阪:2019年12月7日(土)~12月16日(月) 梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原作」ガストン・ルルー
脚本:アーサー・コピット
作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:城田 優
[出演]
加藤和樹/城田 優(Wキャスト)、愛希れいか/木下晴香(Wキャスト)
廣瀬友祐/木村達成(Wキャスト)、エリアンナ、エハラマサヒロ、佐藤 玲、神尾 佑、岡田浩暉 ほか


筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

真名子陽子の記事

もっと見る