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【公演評】月組『ON THE TOWN』

優しくおおらかな珠城りょうの魅力が光る、24時間の明るくてセンチメンタルな恋物語

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『ON THE TOWN』公演から=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 月組公演ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』が、7月27日、梅田芸術劇場メインホールで初日を迎えました。

 1944年にブロードウェイで初演されたこの作品は、1949年に映画化され大ヒットし、2014年のブロードウェイ・リバイバル上演ではトニー賞作品賞を含む4部門にもノミネートされた名作です。今年1月にはトップスター珠城りょうさんを中心に東京国際フォーラムで上演し大好評を博しましたが、花組から組替えした鳳月杏さんを始め、一部のキャストに役替わりも加えて、いよいよ大阪・梅田芸術劇場に登場です。

 3人の水兵がニューヨークで繰り広げるわずか24時間の恋愛模様は、思い切り笑えて、ちょっぴりセンチメンタル。レナード・バーンスタインの音楽とジェローム・ロビンス振り付けのミュージカルナンバーがふんだんにちりばめられ、古き良きブロードウェイの魅力がたっぷり味わえる作品となりました。

珠城らしさが活きたゲイビー

拡大『ON THE TOWN』公演から、ゲイビー役の珠城りょう=岸隆子(Studio Elenish)撮影
 幕開きのオーバーチュアでは、ニューヨークの名所をイラストで紹介しながら、物語への期待感を募らせます。舞台と客席の間にオーケストラピットが設置されているのも、より臨場感を高めていました。

 男ばかりの洋上で暮らす水兵さんたちが、大都会ニューヨークで24時間だけ自由を得られるなんて、ワクワクとハラハラは不可避! 始まる前から波乱の予感しかないのですが……?

――1944年、夏のニューヨーク、早朝6時の波止場。24時間の上陸許可を得た海軍水兵のゲイビー(珠城)は、仲間のオジー(鳳月)とチップ(暁千星)とともに、解放感と素敵な女性との出会いに心躍らせていた。さっそく地下鉄に乗り込んだゲイビーは、車内ポスターに写る“ミス・サブウェイ”アイヴィ・スミス(美園さくら)に一目惚れし、彼女を見つけ出してデートすると宣言。オジーとチップも協力を申し出て、3人は午後8時半に落ち合うことを約束し、それぞれがニューヨークの街へと飛び出していった。

 朝もやにけむるブルックリン海軍造船所で、労働者役の颯希有翔さんののびやかな歌声から物語は始まりました。珠城さん演じるゲイビーは、3人の中でも兄貴分といった存在でしょうか。真面目でちょっと不器用なんだけど、やさしくて面倒見がよくて……それってふだんの珠城さんそのものかも? アイヴィに恋する揺れる気持ちを等身大で演じていますが、あちこちで笑いが弾ければ弾けるほど、ゲイビーの切なさが際立ち、珠城さんはこういう実直な役が本当によく似合うと実感します。

 24時間の物語なので、衣装はセーラー服のみなのですが、途中で黒いシースルーな衣装を着て踊る幻想シーンがあります。魅惑的なダンスで“美しいのにとても男らしい”という珠城さんらしさが光る場面ですので、こちらもぜひお見逃しなく。

◆公演情報◆
ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』
2019年7月27日(土)~8月12日(月) 梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ

[スタッフ]
“ON THE TOWN”
Music by LEONARD BERNSTEIN
Book and Lyrics by BETTY COMDEN and ADOLPH GREEN
Based on a Concept by JEROME ROBBINS
潤色・演出:野口 幸作

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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