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展示中止となり、壁で閉ざされた「表現の不自由展・その後」の入り口(右)=2019年8月4日午後、名古屋市東区20190804拡大展示が中止になり、「表現の不自由展・その後」の入り口(右)は壁で閉ざされた=2019年8月4日

警備、電話対応、警察の協力などで耐えられたはず

 私はこれらの「理由」を読んで、ずいぶん職員思いで「内向き」だなと思った。大村知事はファクスから京都アニメーションの放火を思い出したというが、それこそファクスの送り主の思うつぼだろう。この展覧会が開かれているのは民間の施設ではなく、「愛知芸術文化センター」という県の施設である。通常から外注の警備会社から派遣された警備員が何人も行き来している。このようなファクスが来れば、観客の手荷物検査をすればいいし、警察も動員すべきだろう。海外でテロが起きるとよく見る風景だ。

 日本では従軍慰安婦や南京大虐殺関連の映画を上映すると、右翼が街宣車でよく会場にやってくる。主催者はひるむことなく、弁護士や警察に相談して、上映会を敢行するのが普通である。相手が特定できた場合は、会場に近づくことを禁じる仮処分を裁判所に申請して認められた例もある。今回は県の事業であり、警察の動員は当然だろう。そもそもこれほど危険な内容のファクスの送信者は、警察なら簡単に割り出せるだろうし。

 また「オペレーターに激高するなど抗議が過熱」というが、こうした抗議は役所でも民間でもよくあること。実は日本のほとんどの美術館は

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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