大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
再演を繰り返される傑作四人芝居に鈴木勝大と川原一馬が出演
――『絢爛とか爛漫とか』は友情や恋愛、将来の夢などに悩む4人の文士たちが描かれています。4人の姿で現代に通じると思うのはどんなところでしょうか。
川原:この作品の中では、リーダーは彼かもしれないけど自分もリーダーだと思われたいと思ってカッコつけてるタイプや、いつも「うんうん」と言って中立にいるけど変なところは絶対に曲げない人、「そんなのはどうでもいい、楽しければいいじゃん」という楽観的に見えるタイプがいたりする。僕らは個で成立してしまう世代なので、この作品に出てくるように密な関係性が持てたのは中学生か高校生の頃かなと感じます。それくらいの年代のときってよく群れてたじゃないですか。学校が終わって遊んでいる中にも関係性があって、喧嘩したり、いやな思いをしてもちょっとしたら仲直りしてたなって。そんな懐かしさはありますね。
鈴木:稽古中に「この役は〇〇さんぽいよね」と共通の知人の固有名詞が挙がったりする。お客様も「知り合いの〇〇さんみたい」と思うところがあるんじゃないかと思って。それくらい人をリアルに描いている作品なんだなと思いますね。僕と同世代で、順位がつけられないことに取り組んでいる人は、古賀みたいなことを考えている人が多いと思うんですよ。たとえば陸上競技だったら自分が何位かわかるけど、役者業は自分も他人もランクづけがわからない。「僕はあの人に負けてるんじゃないか」「いや、そうでもないかも」という悩みは誰もが持つと思うから、僕と同世代の男の人は自分のことのように見てもらえると思いますね。
川原:そうだね、男性の方が感情移入できるんじゃないかなと思います。女性は登場するキャラクターを俯瞰で見られる気がしますが、男性は共感できる作品だなと思う。
鈴木:20代の男性にはぜひ観ていただきたいと思う。
川原:何なら同業者に観てほしい(笑)。表現をする人はきっとみんな古賀みたいな感情を一回は通っているんじゃないかって。
鈴木:自分と目指すものは違うけどやりたいことが決まっている加藤への憧れの気持ちを持つというのも「ああ、わかるわかる」と思ってもらえると思う。「いいよね、ああいうふうに決まっている人は」なんて思ったり。もちろん人によると思いますが、女性だったら、「馬鹿だね、古賀は」と笑っていられても、男は笑っていられない。
川原:男からすると、みんなが古賀の気持ちになるよね(笑)。
◆公演情報◆
舞台『絢爛とか爛漫とか』
東京:2019年8月20日(火)~9月13日(金) DDD青山クロスシアター
公式ホームページ
[スタッフ]
作:飯島早苗
演出:鈴木裕美
[出演]
安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
〈鈴木勝大プロフィル〉
2009年ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞し、2010年に俳優デビュー。2012年放送の『特命戦隊ゴーバスターズ』でテレビドラマ初主演を果たす。最近の舞台出演作品は、SOLID STARプロデュースvol.17 『ハッピーマーケット!!』、劇団た組。第17回目公演 『貴方なら生き残れるわ』、『DARKNESS GATE』、『岸 リトラル』など。
★鈴木勝大オフィシャルサイト
★鈴木勝大twitter
〈川原一馬プロフィル〉
小学生の頃から、ダンス・歌・演技のレッスンを受け、子役としてドラマなどに出演し活動をスタート。最近の舞台出演作品は、ミュージカル『オリヴァー・ツイスト』、BEST OF OFF BROADWAY MUSICAL『ALTAR BOYZ 2019』、ミュージカル『イヴ・サンローラン』など。11月にA NEW MUSICAL『In This House~最後の夜、最初の朝〜』に出演予定。
★川原一馬オフィシャルサイト
★川原一馬twitter
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