メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

滝川クリステルなら小泉進次郎に太刀打ちできる

青木るえか エッセイスト

首相官邸で結婚を発表する自民党の小泉進次郎衆院議員(左)とアナウンサーの滝川クリステルさん首相官邸で結婚を発表する小泉進次郎衆院議員と滝川クリステルさん

 テレビをつけたら二人並んで記者に囲まれて「結婚・妊娠会見」をしていたので思わず「うわっ」と声が出た。想像もしなかったのに、いざ現実を突きつけられると「これしかない」というハマリ具合。「進次郎とクリステル……なんてお似合いなのだ」と思い、同時に口からこぼれ出たコトバ。「野合だ……」。

 今はなき『新潮45』に原稿を頼まれたことがあって、誰かひとり政治家を選んで、文句つけてくれ、みたいなことだった。編集部はたぶん、細野豪志とか前原誠司とかの、ちょっとチャラい感じのする民主党(当時)系議員の悪口を期待していたんだろうが(推測)、私は小泉進次郎にした。編集部は「なんで小泉?」みたいな反応だったけど、私はずっと「小泉進次郎はコワイ。彼には気をつけなければいけない」と思っていたのだ。原稿の日付を見ると2012年6月。7年前から私は進次郎に警鐘を鳴らしてきた。けっこう早いと自慢している。

 どういう警鐘かというと、まず父親の小泉純一郎から連綿とつづく「冷たい血」。

 どんなに親しみやすそうなパフォーマンスをして見せても純一郎は冷たい人間に見える。

 その時の原稿を読み返してみたらこんなことを書いている。

 「(純一郎は)トラブルが嫌い。(中略)意見の相違も嫌い。人の意見は無視。利害が一致した時のみ役に立ってくれるが、一致しないとなったらたちまちその人はモノとなり果てる。妻との離婚でも、まったく離婚協議に出てこなかったという。実にわかる」

 「後継者は孝太郎じゃなく進次郎。当然だろう。すごく似てるから。似てるどころか純化している。さらに冷たく、そして(まずいことに)ハンサム。この息子なら、ハンサム冷血政治で日本を牛耳ることができる、と父は見込んだのだろう」

 父がその後、原発反対で細川護熙の選挙を応援したのには意表をつかれたが、まあ基本的に今もこの時書いたものと考えは変わっていない。その後の進次郎の活動状況を見るに、こちらの見立ては間違っていなかったと思う。「親しみやすいが実は冷たい政治家」に見える。
 (その根拠はと問われたら、見たらわかる、としか言いようがない。そんな根拠ですみません。わかる人にはわかるとしか)

 そしてこの時、進次郎の結婚についても書いてあった。

 「たとえば。小泉進次郎と結婚したとする。何か機嫌を損ねるようなことをしたら、黙る、不機嫌を継続する、という形で妻を圧迫するだろう。話し合いをしようとしたって、こちらの言い分など聞かない。他人にも感情があるなんてことは考えもしない。こんな男と一緒に暮らしてたら妻の精神は死ぬぞ」

 「暴力は振るわない。小泉進次郎はぜったい手は出さない。まして人前でなど。そんなバカなことはしない。最近はDVに対して人目が厳しいから(中略)尻尾をつかませるようなことはしない」

 言いたい放題書いているが、ほんとうに、小泉進次郎を見ているとコワイのだ。

小泉家の男と女

 首相官邸での結婚発表会見。なぜ閣僚ですらない一国会議員が首相官邸でそんな発表してるんだ、という意見には「首相官邸なんてのは何やってもいい」と思うのでそれはよい。

 小泉進次郎と滝川クリステルが並んでそれぞれ質問に答える。滝川さんは、緊張してるのか気分が高揚してるのか、何か目元が赤く、目も潤んでいるかのようだが、表情は固めでチラッチラッと進次郎を見ている。が、進次郎はぜんぜん見ないんだ。ひえー。

 翌日の『ひるおび!』によれば、官邸での会見では見つめ合ったのは1回。その後、横須賀の実家前で取材に答えた時には「6回」見つめ合って、スタジオは「お熱いですね~」的に盛り上がってたが、6回て! 大丈夫か。

 『日本の血脈』(文藝春秋)という本がある。ノンフィクション作家の石井妙子が、各界有名人を血脈から解き明かす、という本で、オノ・ヨーコに小沢一郎、中島みゆきに香川照之、堤康次郎、秋篠宮紀子妃、美智子皇后(当時)などが並ぶそのトップバッターが小泉進次郎なんだが、これが実に面白い。

 進次郎には曾祖父にあたる小泉又次郎(元逓信大臣。背中にイレズミが入ってたことで有名)から、その娘、入り婿の小泉純也、その息子の純一郎と姉弟。そして純一郎の、今では語られない結婚生活と、小泉家としてはあまり知られたくなさそうなことを、いやな感じに(これは褒めている)書いてある。

逓信大臣の小泉又次郎と娘の小泉芳江(左)=電報通信社逓信大臣時代の小泉又次郎と娘の小泉芳江(進次郎氏の曽祖父と祖母)=電報通信社

 その中に、とても印象的なフレーズがある。

 純一郎の母である小泉芳江が、

・・・ログインして読む
(残り:約1872文字/本文:約3778文字)