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娘役10年 覚悟を持って舞空へ継承/綺咲愛里

【宝塚~朗らかに~】紅ゆずるとのコンビ2年半集大成

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・8月8日紙面(東京本社発行版)より】

拡大本拠地千秋楽が迫る退団公演への思いを語る星組トップ娘役の綺咲愛里(撮影・渦原淳)
 星組トップ娘役綺咲愛里(きさき・あいり)がトップ紅ゆずると同時退団する「GOD OF STARS-食聖-」「エクレール・ブリアン」は、本拠地公演も終盤に入った。紅と同時就任で、トップ娘役2年半が過ぎた。「180度変わった」と実感する。関西出身のトップコンビは、笑い満載の芝居で添い遂げる。兵庫・宝塚大劇場は19日まで。東京宝塚劇場は9月6日~10月13日。東京千秋楽をもって退団する。

     ◇   ◇   ◇  

 本拠地との別れも近づいた。稽古の時点から、周りの空気が普段とは違った。

 「同期や周りの方々がやたらと、写真を撮ってくださる。『何げない日常を』って。ジーンときてしまうときもありましたね」

 感慨にふける暇はなかった。芝居は大阪出身の紅、兵庫出身の綺咲による関西コンビのコメディーだ。

 「今までで一番、強くてひたむき。戦闘も強い。見ていて気持ちのいい思い切りのある女性。セリフも男勝り。それもまた初めての挑戦。最後まで、いろんな挑戦をさせてもらえた」

 トップ娘役に就いた当初、紅からの問い掛けに「はい」「いいえ」以外は返せなかった。それがいまや、紅も「聞いてないのに、自分のことをしゃべる」と苦笑する成長ぶり。

 「丁々発止。紅さんと言い合いをする場面もあって、おけいこ場から明るく、楽しく、でも真剣に。相手役当初ならできなかった。(紅が)普段から気にかけて優しく接してくださるので、私も、恐れながら…」

 綺咲は3年目だった12年、紅のバウ主演作「ジャン・ルイ・ファージョン」で、妻役に抜てき。8学年差ながら、紅との縁は濃く、相手娘役に迎えられた。

 「私なんか-と思いつつ、もがいていると、スッと手を差し伸べ、助言をくださる。それは、組の皆にも同じ。1人1人に合った言い方で。昔からスーパーマンのようで、私にとって宝塚人生のすべてです」

 さりげない優しさに感謝。紅を「スーパーマン」と表現した。人としての心得も紅から学んだ。同時退団も「何があっても最後までついていく」と、当初から決めていた。「笑顔でサヨナラ」も紅と同じ思いだ。

 「星組を継がれる皆へバトンタッチのような気持ちで。しんみりせず、次へつなげる。さゆみさん(紅)らしい。ご一緒できてうれしい」

 娘役としての立ち居振る舞い、着こなし、髪形、アクセサリー選び、人としての接し方も、後輩に伝えて去る覚悟だ。後任の舞空瞳は花組から組替えしてきたばかり。新人公演は綺咲が本役のヒロインを務めた。

 「すごくかわいらしい子。あのまま、かわいく、伸び伸びと、きっと務められると思う」。その舞空を迎える次期トップ礼真琴は綺咲の1年先輩。宝塚音楽学校時代の上級生だった。

 「琴さんとは新人公演もご一緒させていただき、思い出もたっぷり。琴さんの星組が、どんなカラーを生み出すのか。1歩離れて見るのがとても楽しみ」

 10年の節目に去る。

 「宝塚の中で娘役で10年いられたことは、大きな財産。お芝居に携わった10年は大きい。ドラマ、映画とお芝居の見方も変わった。この10年を大切に思い続けていきたい」

 退団後には考えが及ばない。「最後まで宝塚でやり尽くしたい。今はただ、組旅行どこに行く? とか。そんなことばっかり、考えています!」。そう言って笑った。

◆ミュージカル・フルコース「GOD OF STARS-食聖-」(作・演出=小柳奈穂子) 上海の「大金星グループ」のホン(紅ゆずる)は、高慢ながら、天才料理人として世界的に名を知られる。ところがある日、弟子リー(礼真琴)に裏切られ、築いた地位、名声も失い、シンガポールの下町へ流れつく。行方不明の父に代わり、食堂を運営するアイリーン(綺咲愛里)に助けられる。天才料理人役の紅。対して、綺咲の最後の役柄は「気絶するほど料理が下手」な設定。ただ、実生活では料理が好きで、作品にちなんだ料理を作ることも。今回、クッキーを紅に渡す場面があり、稽古中には「クッキーを焼いて、さゆみさん(紅)に持って行った」そう。芝居の稽古で小道具のクッキーを見ていて「本当に渡したくなって、夜中に思い立って焼いた」ところ、紅は「おいしい」と喜んでくれたそうだ。

◆スペース・レビュー・ファンタジア「エクレール・ブリアン」(作・演出=酒井澄夫)宇宙から地球に舞い降りた青年が世界を舞台に歌い踊る姿を描く。 

☆綺咲愛里(きさき・あいり)10月30日、兵庫県川西市生まれ。10年入団。星組配属。14年「The Lost Glory」で新人公演初ヒロイン。16年11月、紅のトップ就任と同時に相手娘役に。17年、初舞台作「スカーレット・ピンパーネル」で、本拠地お披露目。昨秋の台湾公演もヒロイン。身長163センチ。愛称「あーちゃん」。

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