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宝塚が、男役が好きだった/明日海りお

【宝塚~朗らかに~】男役17年完結 兵庫でサヨナラ公演

日刊スポーツ新聞社・村上久美子



【日刊スポーツ・8月22日紙面(東京本社発行版)より】

拡大サヨナラ公演で、青いバラの精霊を演じる明日海りお(撮影・白石智彦)
 宝塚100周年以降“新世紀の顔”の1人、花組トップ明日海(あすみ)りおは、サヨナラ公演「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」「シャルム!」で男役17年、トップ5年半を締める。最後の役は、罪の色に染まったバラの精霊。はかなさと美を表現する。「ひ弱」だった入団時から「たくましくなった」自身を重ねて臨む。兵庫・宝塚大劇場は8月23日~9月30日。東京宝塚劇場は、10月18日~11月24日。新人公演は2年目の都姫(みやひめ)ここが初ヒロインに抜てき。宝塚が9月10日、東京は10月31日に上演される。

     ◇   ◇   ◇  

 「私からお願いが。最後だから、ぜひ撮りたかったんです」。優しい空気をまといつつも、比類なき美貌が光る。宝塚の「美」を体現したトップは、最後の取材会で、記念撮影を求めた。前代未聞。場が和らいだ。男役・明日海と、その素顔のギャップ。取材会でも“集大成”をみせた。

 最後の役はバラの精霊。「最初は妖精? ちょっとヒヤッと。でも、かわいらしい妖精じゃないと聞き、安心した」と笑った。

 「バラは手をかけないと美しく咲かない。端正で、少しプライドが高く、品があって、一目置かれる存在。少女シャーロットに出会い、大人になる前に存在を忘れてもらわなきゃいけないのに、できない。ダメな精霊です(笑い)」

 幻想的で耽美(たんび)。“青い”バラの精霊だ。

 「青く罪の色に染まっている。人間ではないもののすごみ、切なさを。私、昔から『何を考えているか分からない』と言われることが多くて。そこもうまく使えるんじゃないか、と」

 役柄に共感も覚える。「アイドルの月組」で育ち、華やかさで下級生時代から注目。一方で「幼い」「娘役の方が合う」との意見も受けた。男役へのこだわりを強め、「骨太さ」「おとこ気」を求め続けてきた。

 月組から、劇団最古で男らしさが最も求められる花組へ移り、トップに。男役の色気も増した。ショーは集大成色がより強まる。

 「パリを舞台にした華やかなレビューですが、プロローグは地下。夜から始まり、ちょっとアダルト」。トップ初のショー作品演出だった稲葉太地氏に「黒えんびもきっとある」と信じ、全権を委ねた。「男役総まとめに近い」とも語る。

 卒業が近づき「センターのありがたみ、花組生としての誇り、先輩方への感謝が強くなった」。トップを中心に演目が決まり、その責を一身に負うのが宝塚。異例の長期、5年半にも及び、務めてきた。

 「すてきな男役、作品に出会い、つねに悩み、打ちひしがれ、自分と闘ってきた。でも宝塚が、男役が好きだったので、最初の頃は精神的にはひ弱だったんですけど、だいぶ、根性はついたかなって思います」

 次期トップのバトンを譲る柚香光(ゆずか・れい)は11年目。明日海のトップ本拠地お披露目だった「エリザベート」新人公演に主演するなど、明日海の背を追ってきた存在だ。

 「会って話せばいいのに、電話で話して。お互い思いが『うーっ』となって、電話なのに、何十秒も無言(笑い)。感極まって。泣いていたんですかね。おめでとうと言いました」

 柚香には以前から「いつかきっと、リーダーとしてやる日がくる」と感じ、自身の考えを伝授してきた。「だから、大丈夫だよって気持ちです」と言う。

 「新しい時代が、宝塚歌劇に求めるもの、需要も、緩やかに変わるかもしれない。でも、私たちは伝統ある宝塚の生徒であって、つねに勉強、研究をし続けなければいけない。温かい(周囲の)思いに感謝する姿勢、精神は持ち続けて」

 退団後には「発表の時に(進路を)聞いていただいて、それも考えなきゃ…と、少し考えてみた」そうだが「稽古にすべてを注げない罪悪感がにじみ出た」ため、思考を止めた。「サヨナラ公演を納得するものに仕上げることに専念したい」。11月24日まで、全身全霊で男役・明日海りおを磨きあげる。

◆ミュージカル「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」(作・演出=植田景子) 自然界のおきてに背いた罪で闇と孤独に閉じ込められた“青い薔薇の精”を主人公に、耽美(たんび)で幻想的な世界観を描く。19世紀半ばの大英帝国が舞台。異国からの珍しい植物がブームとなっていた。植物研究家ハーヴィー(柚香光)は、屋敷の庭で、人間離れした美しさの「青い薔薇の精」と名乗る男と出会い、少女シャーロット(華優希)にまつわる話を知る。異次元の世界をからめたオリジナル作。

◆レヴューロマン「シャルム!」(作・演出=稲葉太地) シャルムとはフランス語で「魅力」「色香」「魔法」「呪文」などを表す言葉。パリの地下都市が舞台のレビューで、官能的な美、暗闇からの希望などをステージで表現する。

☆明日海(あすみ)りお 6月26日、静岡市生まれ。03年入団。月組配属。08年「ミー&マイガール」で新人公演初主演。12年、月組準トップ。当時トップ龍真咲と主演役がわりで2作。花組へ移り14年5月、同トップ。15年に台湾公演主演。華優希を4人目相手娘役に迎え、6月に劇団初の横浜アリーナ公演を成功させた。身長169センチ。愛称「みりお」「さゆみし」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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