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前座から二ツ目へ。恍惚と不安に揺れる落語家たち

トーキョー落語かいわい【3】不自由から自由の身へ。ネタを仕込んで精進あるのみ

鶴田智 朝日新聞記者

拡大三遊亭はち好改め好好の二ツ目昇進披露口上。中央で両手をついているのが好好。右が師匠の好楽。左は兼好=2019年8月5日、東京都墨田区両国の「お江戸両国亭」、筆者撮影

 落語家が最もうれしい時。それは意外にも真打ちよりも、前座修業を終えて「二ツ目」への昇進だといいます。晴れて一人前として認められたあかしだからです。でも、それは同時に、これからは売れるも売れないも自分の腕次第、という厳しい世界への旅立ちでもあります。そう思うと、不安もまた、ムクムクと首をもたげてきて……。「選ばれてあることの恍惚と不安のふたつ我にあり」と、かつてフランスの詩人は綴りました。二ツ目への昇進は、落語家にとって、まさしく恍惚と不安のふたつあり――。今回はそんな思いを抱く落語家のおはなしです。

師匠、兄弟子がお披露目の言葉

 まずは冒頭の写真をご覧ください。

 ずらりと並ぶのは、五代目円楽一門会の落語家の皆さん。中央のスキンヘッドの噺家(はなしか)をはさんで、右側がテレビの「笑点」でもおなじみの三遊亭好楽。左側は人気の真打ち、三遊亭兼好です。

 スキンヘッドの噺家は、三遊亭はち好、改め好好(こうこう)、33歳。8月に前座から昇進したばかりの、ほやほやの二ツ目。

 前座修業を終え、一人前の落語家として認められた。それが二ツ目です。好楽は好好の師匠、兼好はだいぶ先輩ですが、兄弟子にあたります。いずれも二ツ目昇進披露の口上で並んでいるのです。8月5日夜、場所は東京・両国の演芸場「お江戸両国亭」。詰めかけた約100人のお客を前に、笑いをまじえて新しい二ツ目に、お披露目の言葉を贈りました。

 兼好は「(好好は)先輩、後輩から愛されており、あとはお客様から愛されるよう、ごひいきよろしくお願いいたします」と話し、翌日が73歳の誕生日だったという好楽は、「二ツ目になるということは一番うれしい。でも長い道のりです。(落語家は)しゃべれればずっと続けられる」とあいさつし、「末は立派な真打ちに」と三本締めの音頭を取りました。

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筆者

鶴田智

鶴田智(つるた・さとし) 朝日新聞記者

1984年朝日新聞社入社。地域面編集センター次長、CSR推進部企画委員、「声」欄デスクを務め、現在、校閲センター記者。古典芸能にひかれ、歌舞伎は毎月観劇、落語は面白そうだと思えばできるだけ見に行く。

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