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新海誠監督は「天気の子」で何を描きたかったのか

物語を通して何かを感じて心を動かしてもらう。それがエンターテインメントの役割

丸山あかね ライター

拡大「天気の子」。離島から家出して上京した少年・帆高が、彼の孤独や不安を代弁するかのように雨が続く大都会の片隅で、「祈り」を通じて100パーセント晴れ空にできる不思議な力を備えた少女・陽菜にめぐり合う物語。(c)2019「天気の子」製作委員会

 7月19日に全国359館、448スクリーンで封切られた新海誠監督の新作「天気の子」が驚異的なスピードで動員数を増やし続けています。8月22日、配給元の東宝が、公開から28日間で観客動員数750万人、興行収入100億円突破と発表。異例といわれるインドでの公開も含めて140カ国での配給が決まり、トロント国際映画祭への出品も決定しました。新海監督にこの映画に寄せる思いなどを聞きました。(聞き手 丸山あかね)

新海誠(しんかい・まこと) 映画監督
1973年生まれ、長野県出身。2002年、個人制作した短編作品「ほしのこえ」でデビュー。2004年、初の長編映画「雲のむこう、約束の場所」、2007年「秒速5センチメートル」、2011年「星を追う子ども」、2013年「言の葉の庭」を発表。2016年に公開された「君の名は。」は、「千と千尋の神隠し」(01年、宮崎駿監督)に次ぐ歴代2位の興行収入を記録。第40回日本アカデミー賞においてアニメーション作品では初となる優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞した。

社会から大きな役割をもらって……

拡大都内で行われた舞台初日挨拶で話す新海誠監督。
 それまで僕の作品は僕の作品のファンだという人達に支えられていましたが、国内だけで1900万人もの人が観てくれた「君の名は。」で一気に観客層が広がったと思います。幸運が重なって社会現象といわれるヒットとなり、もちろん嬉しい体験だったのですが、それだけではない重みのようなものを受け取ったような気がするんです。

 大袈裟な言い方をしてしまえば、社会から役割のようなものをもらってしまったという感覚です。

 今作は「君の名は。」の次回作だからということで、たくさんの人に観ていただけると想定し、作品を通して何を語るべきなのだろう?と、ずいぶんと考えた末に、これかなと思えたのが「天気」というテーマでした。

 たとえば今年のように梅雨が長いと人々の心は鬱々(うつうつ)となる。逆に晴れ渡っていると、小さなことはいいかというようなポジティブな気持ちになりますよね。人の心は天気とつながっているのだという気づきが、発想の原点でした。それに、誰もが天気を気にしながら暮らしている。つまり共通の関心事であることも一つの決め手になりました。

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筆者

丸山あかね

丸山あかね(まるやま・あかね) ライター

1963年、東京生まれ。玉川学園女子短期大学卒業。離婚を機にフリーライターとなる。男性誌、女性誌を問わず、人物インタビュー、ルポ、映画評、書評、エッセイ、本の構成など幅広い分野で執筆している。著書に『江原啓之への質問状』(徳間書店・共著)、『耳と文章力』(講談社)など

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