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大学の英語入試に「異議あり」(下)

住む地域や経済力で不公平は広がるばかり

刀祢館正明 朝日新聞記者

東京と帯広「同じにはできない」と文科省

 前回、2021年度から始まる新しい大学入試の英語について、公平さや公正さの点で大学人たちから反対の声が上がっていることをお伝えした。受験生は七つある英語の民間試験のどれかを本番前に受けないといけない。大都市圏に住んでいればまだしも、それ以外の地に住む受験生たちにとっては大変だ。

入試英語に異議あり拡大全国高校新聞コンクールで入賞した帯広柏葉高校の新聞。入試改革について特集した

 当事者の生徒たちは当然、敏感に受け止めている。

 朝日新聞の教育情報メディア「朝日新聞EduA(エデュア)」の4月14日号(創刊準備号)は、今年の全国高校新聞コンクールで入賞した二つの公立校、滋賀県立彦根東高校と北海道帯広柏葉高校の新聞が入試改革について特集したことを記事にした(朝日新聞EduAサイトで読むことができる)。

 帯広柏葉高校の新聞は、地方の受験生の大きな負担も取り上げている。

 帯広で受けられると予想される試験は三つだけ。ほかの四つの試験を受けようと思ったら、特急で3時間かかる札幌まで行かないといけない。新聞を作った生徒らはEduAの取材に、「受けられる試験の数が少なく、地方は不利。公平性が保たれるような制度にしてほしい」「地域事情や経済格差など、学力とは別のところで差が生まれるのはよくない」と話している。

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筆者

刀祢館正明

刀祢館正明(とねだち・まさあき) 朝日新聞記者

関西生まれの関東育ち。1982年朝日新聞入社。整理部記者、朝日ジャーナル記者、アエラ記者、学芸部(現・文化くらし報道部)の記者と次長、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)客員研究員、早稲田大学非常勤講師、オピニオン編集部編集委員などを経て、現在は夕刊企画班のシニアスタッフ。2013年秋から2019年春まで夕刊で「英語をたどって」を連載した。担当した記事が本になったものに『塩の道を行く』『奔流中国』『3.11後 ニッポンの論点』など。英語は嫌いではないが得意でもない。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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