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ミュージシャンは東京五輪に無関心でいられない!

9.1下北沢ライブ! 腐敗と欺瞞に満ちた東京オリンピックはや・ら・せ・な・い

花咲政之輔 ミュージシャン バンド「太陽肛門スパパーン」代表

ライブで白ブリーフで演奏する太陽肛門スパパーン。右は日本左翼音楽シーンのレジェンドサックス奏者中尾勘二(筆者提供)

奇抜なバンド名の由来は…

 プロレタリア芸術運動の再生と復権を志向する「太陽肛門工房」代表の花咲政之輔と申します。「太陽肛門スパパーン」という名前のバンドの代表もやっています。

 奇抜なバンド名と思われるでしょう。バタイユだよね? とすまされることも多いのですが、実は我々のバンド名にはこんな由来があるのです。

 私たちがこのバンドを結成したのは、30年前の天皇代替わりに伴って、日本全土を覆った「自粛」ムード(自粛といいつつ実質的には社会的強制)に反対するイベントでのことでした。

 私はこのイベントを主催し、イベント名称を「太陽肛門スパパーン」と名付けました。イベントの名称を名前とするバンドを結成。その場で初ライブを行いました。

 オリジナルメンバーはワタクシ花咲政之輔がギターと歌、鍵盤が小林創、サックスが泉邦宏、ドラムが中原康仁、ベースが今沢カゲロウと矢野伸行、コーラスが村上てつや・酒井雄二、そんな感じだったと記憶しています。

 もともと小林創・泉邦宏と3人で「太陽肛門河内の一生」というフリージャズのユニットを組んでおり梅津和時と共演するなどして活動していたのですが、「フランク・ザッパの社民的限界を左から乗り越える」形で、よりジャジーなビッグバンドな歌モノをやりたい、ということでこのバンドを結成したのです。

 基本的にライブ・録音のコンセプトに応じてメンバーを組織する不定形ユニットとして活動してきました。現在は約30名メンバーが在籍しています。

 男性は全員が白ブリーフ1枚、女性は割烹着(かっぽうぎ)姿で演奏することがトレードマークとなっています。

 年間に約20ステージを行っており、近年は「苦しく踊って、楽しく討論」「Don't feel, Think!」を旗印とする究極のフェスバンドとしてフジロックフェスティバル、朝霧ジャムなど各地のフェスに呼ばれることも多くなってきています。

 これまでにリリースしたCDはオリジナルアルバムとして「馬と人間」「テロリストブッシュと人間」「アトミックサンシャイン―河馬と人間」の3枚、映画のサントラが「映画『レフトアローン』オリジナルサウンドトラック」「映画『ラザロ』オリジナルサウンドトラック」の2枚、コンピレーションアルバム「日本の態度」「和田アキコtribute『あの鐘を鳴らすのはワタシ』」の2枚、そのほかにベスト盤とレーベル企画盤が3枚など、計13枚のCDやMP3音源のオリジナル曲を出しており、いずれもamazonや店頭で購入できます。

「資本制社会」「安倍」「アメリカ」

 自分たちが一貫して訴えているのは、折々の時事トピックにより焦点課題は変化しますが、「資本制社会をぶっつぶせ」「安倍をやめさせよう」「アメリカ帝国主義をぶっつぶせ」の3つです。

 2011年3.11以降、脱原発(「反」ではない)シングルイッシューのネオリベラル「リベラル」とでもいうべき市民活動家が増加しており、音楽家で反安倍をいう人たちは大方そのあたりの人たちに随伴していますが、私たちは彼らに与(くみ)しません。

 彼らは原発問題の根底に経済、貧困問題が横たわっていることを意識的に無視するか、軽視しているように思います。

 もちろん大前提として私たちも反原発であり、全ての原子力発電所の即時廃止を求めています。しかし階級闘争を不問に付して「優しい資本主義」で担保された自らの快適な生活の延長線上にクリーンエネルギーの革命を見ているようでは、決して反原発は実現できないし、実現できたとしても、世界経済の垂直分業の中で、「発展途上国」に原発を押し付けていくのが関の山でしょう。

 だから我々は最近この3つを説明するとき敢(あ)えて「資本制社会をぶっつぶせ」をまず第一に挙げて強調するようにしています。

 そして現在のメインスローガンはもちろん「2020年東京オリンピックをぶっつぶす!」です。

リオ五輪閉会式で「マリオ」に扮した安倍首相=2016年8月21日、マラカナンスタジアム

リオの悪夢を再現させるな!

 多くのメディアがスポンサーになっているということが非常に影響していると思うのですが、あと1年に迫っている東京オリンピックに対する反対の声が非常に少ないことに我々は危機感を抱いています(己の非力に対する自己批判ももちろん含みます)。

 オリンピックが、金と欲にまみれた国家権力の祭典であり、環境を破壊し無慈悲なジェントリフィケーションを伴うものであり、マッチョで能力主義的な資本主義的価値意識を喧伝(けんでん)・強制するものでしかないことは明らかであって、全世界の心ある人民はその廃止を願っています。

 そして音楽に携わるものとして、オリンピックには決して無関心ではいられない事情もあります。

 リオデジャネイロオリンピックでも、その前のロンドンオリンピックでも、多くのミュージシャンが国家動員され、人民を愚弄(ぐろう)・虚勢するのに一役買ったのは記憶に新しいところですが、現在、日本でも着々と多くの「サブカル」「反体制」ロックミュージシャンがオリンピックを軸(餌)に国家権力の下に組織されてしまっています。

 リオデジャネイロオリンピック閉会式の安倍マリオとそれを寿(ことほ)ぎ、付き従った椎名林檎・三宅純・中田ヤスタカ・村田陽一たちの姿を覚えていますか?

 あんな悪夢を東京で再現させてはならないのです。

東京オリンピックで銅メダルへ力走する円谷選手=1964年10月21日

円谷幸吉の魂とともに東京五輪反対の声を

 太陽肛門スパパーンのライブでは、次回CDのタイトルを「円谷幸吉と人間」に決めてから、メインキャラクターとして円谷幸吉を登場させています。

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